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ポケダン(探検隊)チーム『シノギリハ』・『マシュマロ』・『ひだまり』・『カクテル』のネタを殴り書くそんなブログ。
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終了制作

それぞれの



 *****
「ふぅ……」
 本日の学校もこれにて終了。
 あとは家に帰るだけ……と、あら。図書室で借りた本の返却がまだでした。
 ちょっと返しに行ってきますか。
「撫子さん、図書室ですか?」
 あら、貴方はクラスメートの笹奈木さん。えぇ、返しそびれた本があったようですので。
「そうですか……あ、もしよろしければその後で良いので私達とお茶でもどうですか? 最近出来た喫茶店について話をしていたのですよ。興味ありませんか?」
 あらあら、それは興味がありますわね。
 ですが、家から“迎え”が来ますので。また今度お誘いしてくださいな。
「あらー…それは残念です」
 ふふ。
 よろしければ、その喫茶店とやらの名前を教えていただけませんか?
「? はい、良いですけど……」
 ありがとうございます。
 それでは、さようなら。

「お嬢、お疲れ様です」
 そちらこそ、お疲れ様。それと、少しは名前で呼んでくださいな。せっかく恋仲になったんですから。
 ああ、それと。私少し喉が渇いちゃいました。何か飲みたい気分です。
「飲みたい気分ですか……?」
 気になるお店がありますの。喫茶店だそうで……そこでお茶でも飲んでから帰りましょう? 緑青。


「此処か……」
 若の紹介で訪れた事務所。
 何でも若が飲みに行ったお店で意気投合した人が経営している事務所らしく、力仕事をそれなりにこなせる人を探していたようで「迎えまでの間の暇つぶしに行って来い」と此処まで足を運んだが……
(思いの外まともそうだな……)
 正直“その筋”の仕事場を覚悟していたため、少し拍子抜け。いや、まともな職場であることはこちらからすると非常にありがたいのだが。
 ビルの階段を上り、メモに記されたとおりの場所と確認し、ドアを数回ノック。
「失礼します。若……橘さんの紹介で来ました、龍宮緑青です」
 中に入って見えた景色もまたまとも。落ち着いた家具で統一された部屋の中に、黒を基調とした服装を身に包んだ男が一人。皮製の椅子に深く腰掛けてファイルを開いている。
 男は俺を見た瞬間笑みを浮かべる。ニコリ、ではなく、ニヤリと。若干悪意のある笑みを。
「おう、アンタか。なるほど、確かに使えそうなヤツではあるなぁ」
 そう言いながら男は立ち上がり、近づく。
「俺はマサキミ、この事務所の所長だ。今現在は他のヤツは仕事で出払ってるから紹介出来ないことを許しておくれ」
「まぁ……それは構いませんが……」
「そうかい。そいつはよかった」
 「それでは改めて」マサキミと名乗った男は言う。

「ようこそ、『万屋 芥』またの名を――」

「――『バケモノの巣窟』へ」


 町の外れにある教会、そこには様々な人が訪れる。
 ある者は救いを乞いに。
 ある者は自身のしるべを求めて。
 町の外れにある教会、新たに聖職者を増やした教会に、今日もまた新たな迷い子が訪れる。
「大丈夫、怖くありません。神は、貴方の心を救ってくださります」
「そうですか……っ ありがとうございます」

「シスター『チユ』」


 叔父さん、届かぬことが解りきっている手紙を失礼します。
 突然ですが、あの事があっても……叔父さんは幸せでしたか?
 オレは今でも解りません。
 少なくとも、幸せだと断言できる材料は自分にはありませんでした。
 先日、初めて自殺を試みました。こうやって手紙で事実を記している時点で、結果は失敗だということは明白でしょう。
 こうやって死ぬ事が出来なかった以上、今オレは生きる意味を考えながら日々を過ごしています。
 貴方と共に過ごした、あの村で。
「薬屋さん、お客さんが来てますよー」
「はい、わかりました……っと」
 叔父さん。先述しましたとおり、オレは貴方が幸せだったかはわかりません。
 わかりませんから……

 貴方の分まで、オレはオレなりの幸せを見つけられることを、願ってください。


「こじょ」
『また外を見てるね』
 職場で、オセはホワイトボードをこちらに見せた。
 昼休憩の時、窓際で食事を取っていたあたしは、どうやら窓の外を眺めていたらしい。
「こじょじょ」
『待ってるだけって、辛くないの?』
「……、……うん」
 食べかけの弁当箱の前に箸を置き、再び視線は窓の外。
「辛くない、っていえばウソになるね。でも……アイツは約束は破らない奴だと思うから、だから、待ち続けられる」
「……」
 そう発言したあたしに対し、オセは若干眉をひそめている。
『親が死ぬ前に挨拶出来ると良いね 婚約の』
「ッ!? ちょ……」
『で、何? 毎晩コスプレとかマニアックな夜でも過ごすのか?』
「ちょ、オセ! 何書いてるの!! 一応此処他の職場の人もいるからっ 消して――っ!!!」


 この人はどこに向かっているのだろう。聞いてもこの人は教えてくれない。
 何で? どうして? そう聞いても
「教えたら感動も何もないだろう?」
 そう言って、笑う。
 答えとしてはあまり成立してないことくらい、わたしでも解る。
 でも――
(そう言うのなら、きっと素敵な場所なんだろうな)
 わたしはこの人の言葉を信じて、その先に見える景色に期待しようと思う。


 辻原家と峠崎家。
 同じ主に仕える家系でありながら、互いに敵対し、殺し合いをするほどまでに溝を深めた二つの家。
 私は辻原の戸籍を持ちながら、その身に流れているのは峠崎の血。どちらの家の立場にもなりきれない存在。
 きっと、私は永久にどちらにもなれないだろう。
「兄さん、そこにいたんだ。峠崎家の御当主が、家に戻ってきた兄さんに挨拶をしたいって」
「……あぁ、わかった」
 “辻原”にも、“峠崎”にもなりきれない。
 だからこそ、出来る事もある。
「初めまして峠崎一成様」
 敵対している二つの家系。
「当主・辻原晃司が兄弟の辻原清司と申します」
 対立し続けるその家系の“架け橋”に、なってやろうじゃないか。


 芸術品を見て、ため息一つ。
 感動から出る息ではなく、退屈から出た息は、同じ色の空気に溶けてなじんでいく。
 いや、感動するものなんだけど。今はそんな気分になれない。
 それよりも、聞けなかった後悔と、聞けなかったものへの疑問が募る。
 これはきっと片想いとか、そう言う類ではないのだろうけど。
「気になるなぁ……」
 あの人は何を思ってアレを作ったのか。
 気になって、気になって、しょうがないの。


 死のまどろみは強く、生から手を離したこの身は何処へ向かうのか。
 安定しないこの身の行く末は何か。
「さて、我々は何処へ向かおうか」
 ぽつりと零れた言の葉に、傍らのものはニコリと笑みを浮かべる。
「貴方が生まれた家に一度行ってみたいわ。」
「そうか、あの家に行って何をすると?」
「ふふ……ひょっとしたらこの子の弟妹になるかもしれない子供達の顔を見てみたい。聞けば清一郎兄様の子供がいるそうじゃないの、気になるわ」
「そうか」
「……貴方は、何処に行ってみたい?」
 そういって彼女は笑みを浮かべる。
「そうだな……」

「お前が生まれた家を見てみたい」
「あら、私と同じことを考えていたのね」
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1990/03/09
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一応学生
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色々
自己紹介:
幼い頃からの任●堂っ子。
闇の探検隊をプレイ中。
擬人化リクエストは消化しきれない。
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