【最終戦】新たな戦場【VS WORLD】 2014/06/14_Sat_15:30

　――謝肉祭を控えたシンオウの街並みは、いかにも楽しげで賑やかさが目立った雰囲気から一変していた。

　空は突如として闇に覆われ、ずるりと黒の異形が姿を現す。
　観光客と市民は悲鳴を上げ逃げ惑い、警邏を務めていた者達は安全を確保するために避難誘導を行う者もいれば現れた黒の異形へ立ち向かおうと武器を取り駆けていった。

　逃げる人混みを逆流するように俺はぼうっとした表情のまま街並みを彷徨う。
　その眼は一般人の恐怖に歪む姿と黒の異形を視界に捉え続け、その足はゆっくりと黒の異形へ近付くかのように歩んでいる。
　脳は思考し、視界に広がる状況を理解すべく絶え間なく処理が続く。

　ぼうっとした表情を浮かべる中、一つの事実が脳内で弾き出された。



　事実を弾き出すと、口元が歪みを見せる。
　自身の神経はざわつき、その心は狂喜を覚え、ついに哄笑となって声を上げる。
　狂気と狂喜に満ちた哄笑を上げた後、歪な笑みを――しかし、その目は一切の表情が無い――浮かべたまま腰に携えていたサーベルを抜いた。

「感謝するぜ、黒幕」

　軍にとって、家にとって、価値のある“死”を迎えられる戦場を提供してくれて。

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　内心新たな戦場の登場で狂喜してる。
　一般市民達を避難誘導しつつ、影の分身の方へ向かっていきます。