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ポケダン(探検隊)チーム『シノギリハ』・『マシュマロ』・『ひだまり』・『カクテル』のネタを殴り書くそんなブログ。
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それはいつかは向き合わねばならない事



 *****
『今日の夜、空いているか?』
 ユズリハからそんなメールが来たのは合同企業説明会を受けていた昼間の事。尋常じゃない人の群れに酔って部屋の隅で小休憩をとっている時にそのメールが届いたのだった。
 『今企業説明会の最中で、そのまま数時間バイトに行くつもりなんだけど』と返信すると、タイミングが良かったのかじきに『そのバイトは大体いつ頃に終わる? 貴方と会って話したい事があるのだ。』と返ってきて。いくらかのやりとりを続け、“バイトが終わる頃にユズリハの方から迎えに行く”という形で会う事となった。
 そんなメールのやり取りをする中で俺は
(何というか……)
 「普通逆じゃね?」そう苦笑した後、携帯電話を閉じ、俺は再び企業説明会の会場を彷徨っていく。



 企業説明会を終え、スーツのままバイト先の喫茶店へ行き、制服に着替えてバイトして。店の片付けも終わり、制服からスーツに着替えて店を出ると、……車の知識がからっきしの俺でも“高級車”と判る黒色の車が店前に停まっていた。
「待っていたぞ。乗れ」
 車の窓を開け、自分と約束を取り付けた彼女がそう言うと、俺は静かに応じて車に乗り込む。
 テレビでしか見た事ないような車内。ユズリハと向かい合う形で座った俺は、彼女に尋ねた。
「……それで? 話したい事っていうのは?」
 彼女は黙って俯く。ただ一言「会って欲しい人がいる」と言って。
 かすかな走行音が車内に伝わる。沈黙が続く。
 しばらく車を走らせていると、何階建てかも推測出来ないほどの高層ビルが見えてくる。車は高層ビルの駐車場にスルリと入っていき、入り口前に停めた。運転手が車のドアを開けると、ユズリハは車から降りる。
「早く降りろ」
 彼女は言い、俺も荷物を持って車を降りる。そのまま彼女に追従する形でビルの中に入り、エレベーターを利用して階を上がっていく。ポーンという音と共にエレベーターの扉が開かれると、俯瞰の夜景がガラス越しに広がった。
 彼女の後ろをついていくと、やがて一つの店に辿り着く。一般市民が入るに躊躇われるほどの上等なレストランに入ると「お待ちしておりました」と一礼し、ウエイターが俺達を案内する。
 夜景がよく見える席まで来ると、三人の人影が確認出来た。
 一組の男女に、彼と近しい席に座っている俺と同じくらいの男性。
「やあ。待っていたよ」
 男性がそう言って此方に手を振る。俺はキョトンとした表情で相手を見ていたが、ふと、ユズリハの方に視線を向けると、わずかに表情を強張らせた彼女の姿が。
「まあまあ、そんなに緊張しないで。さ、此方へどうぞ」
 男性は柔和な笑みを浮かべて俺達を向かいの席に座るよう促す。ユズリハが男性の真向かいに座り、俺は彼女の隣に腰掛ける。
 改めて三人の姿を確認した。
 まずは一組の男女。男性はパッと見た感じ50代半ば、落ち着いた色彩の短髪や一つのブランドに統一された服装からはどこか清潔感ある印象を受ける。柔和な笑みを浮かべているが、何となく寒々しいものを俺は感じ取れた。女性は男性と同じか少し下くらい。男性と同様、落ち着いた色彩をしたウェーブの長髪と、この店の雰囲気を害さないワンピースドレスを身に纏っている。派手すぎない程度にアクセサリーも着けていた。彼と同様に柔和な笑みを浮かべたまま、此方を見ていた。
 彼等の近くに座る男性の方は金の髪に黒の目、二人とはまた違う印象の笑みを浮かべながら此方を見ていた……というか、
(この人、いつぞやの……)
 俺はその男性に見覚えがあった。いつの話かはすぐに思い出せないが、大学から出てきた所でいきなり声をかけてきて、そのまま……今いる場所のような非常に場違いなレストランに連れていった男性だ。
 確か名前は――
(桐谷、硲……?)
 桐谷コンツェルンの若きCEO。何故彼が此処に?
 いや、それよりも、この男性。何か何処かで見たような……
「……彼を、お連れしました」
 ユズリハが重々しい雰囲気を纏ったまま、口を開く。彼等が“会って欲しい人”なのだろうか。

「父上」


「母上」

「……はぃ?」
 彼女の口から出てきた単語に、俺は思わず間抜けた声を上げる。彼女の顔を一瞥した後男女の方を見ると、彼等は変わらぬ柔和な笑みで俺を見てきた。
「それじゃ、改めまして自己紹介を」
 男は言う。
「私はニコラス・グローカス。此方は妻のクレハ」

「グローカス・グループの社長とその婦人であり、君の隣にいる彼女の両親だ」

 「よろしく」そう言ってニコラスと名乗った男性はニコリとして此方を見る。対し、俺も「え? ああ、はい。宜しく……お願いします」と挨拶をする。
 ソレを見た後、彼はウエイターに何か言葉を交わすと、ウエイターはコクリと頷き厨房へ。少しすると料理が運び出され、それぞれの前に配膳されていく。
(食事会……会食、ということなのだろうか?)
 チラリと相手の顔を見てみるが、相手は変わらず笑顔のまま。
(……まあ、いいや)
 出された食事を放棄するのは失礼だろうし、一口含む。料理人がこだわりを持って調理しているという事を強く感ぜられるほどに、上等な味が自身の味覚を刺激する。
「それで……いったい何の用があったんですか? 食事を囲うだけ、――ってワケでは無いですよね?」
「なるほど、そのくらいの事は君でも解るのか。」
 ニコラスさんは笑顔で返す。彼の返しにイラッときたが、表面に出さないよう努めながら俺は話の続きに耳を傾けた。
「いや、ね。前から君には一度会ってみたいと思ってたんだよ」
「――“前”から……?」
「ああ。何て言ったって君は我々の大事な娘を」

「たぶらかし、堕落させた張本人だからね」

「父上……その言い方は」
「ユズリハ」
 「今お父さんは彼に話しかけているの。邪魔しちゃダメよ?」何か言いたげなユズリハを、クレハさんが制する。その一言にユズリハは俯き、食事の手を進めた。桐谷さんは変わらず食事を進めつつ、様子を伺っている。
「たぶらかし、堕落させた……ですか、結構な物言いですね。俺は彼女と現在交際してますが、たぶらかすと言われる様な事はしてないと思いますが」
「たぶらかしているし、堕落させているよ。現に彼女は、頂点(トップ)に固執しなくなった」
 カチャリ、とナイフと皿が当たり音を鳴らす。
「そもそも私達夫婦は君達の交際に反対なんだよ」
 ニコラスさんは言う。
「彼女がどういう存在かは解っているかな? グローカス・グループの大事な大事な跡取りだよ? それほどに大事な一人娘が、何処の馬の骨とも知れない一般市民なんかと交際してるなんて……」
 「ましてや」彼は此方を見つめる。
 変わらぬ笑みを浮かべたまま。しかし、冷たく鋭い何かを醸し出しながら。
「どこぞのヤクザと繋がりがある男なんかに、ね」
 続いて出てきた言葉は、まるで冷たい。刃のように鋭い一言が、心に深く突き刺さる。
「元々君達がいる大学内外で噂は出回っているが……探偵を雇ってちゃんと調べてみたんだ。戸籍までしっかりと、ね。」
 「本当にそうなんだね」ニコラスさんは笑う。自分の背筋に嫌な汗が伝うのを感じる。
「今日は君達に“別れ”を告げてもらいたくて来てもらったんだ」
 「君はユズリハとは到底釣り合わないからね」ニコラスさんは言う。クレハさんも彼の言葉に賛同しているのか「本当」とクスクス笑っている。
「君に拒否権なんてものは無いんだよ。解っているね?」
 ニコラスさんは笑みを浮かべたまま此方を見る。
「父上、」
 ユズリハが何かを言おうとするが、クレハさんに制される。桐谷さんは水を一口含みながら様子を見ている。
「解っているね?」
 ニコラスさんは笑う。此方を見ながら。
「……」
 俺は一度目を伏せる。
 閉じた目を開け、一つ質した。
「一つ聞いて良いですか?」
「君のような存在にそんな権限は無いと思うのだけれど、いいよ。許可をしよう」

「貴方方は一度たりともユズリハを、ユズリハとして見た事がありますか?」

「……は?」
「解りにくかったですかね? ではもう一度言います。貴方方はユズリハを……彼女を、グローカス・グループの跡取りとしてでなく、ユズリハ個人として見た事が一度でもありますか?」

「“クスノキの代替”でなく、“ユズリハ個人”として見た事はありますか?」

 俺の問いに、ニコラスさんとクレハさんの表情は凍りつく。ユズリハは驚いた様子で此方を見ており、桐谷さんは「ほお」と興味深そうな表情を浮かべ様子を見続ける。
「そちらが娘さんの事を大事にしているというのはよく解ってます。ですが、それは娘を案じる父としてですか? それとも――」
「君」
 ザワリと、空気が冷えた感覚を覚える。ニコラスさんの表情はにこやかであるものの、此方を見つめる目が異様に冷たい。
 クレハさんも此方を見る視線を冷たいものに変えていく。ユズリハはいたたまれなくなっているのか、汗を垂らしてチラチラ此方を一瞥する。桐谷さんは変わらず食事を続ける。
「私が言った事、覚えてるかい? 私達は君達の交際を反対だ、別れて欲しい、君に拒否権は無いと。そう言ったつもりなんだがね?」
「はい。言葉の内容は理解してます」

「ですが、俺は彼女と別れる気は毛頭ございませんので」

 再び周囲の空気が冷え込む。
「え、槐……」
「交際を反対するのも『別れて欲しい』と仰るのは勝手ですが、俺は彼女と別れる気は一切ありません。また、『君に拒否権は無い』と言われましても……俺にだって一応人権云々はあるんですよ? 貴方のその発言は少々横暴な気がするんですが」
「黙れ一般市民風情がッ!!!」
「っ!」
 バシャリという音と同時に感じる、冷たい感触。
 見ればニコラスさんは水で濡れた空っぽのワイングラスを此方に向けていて、そっと自分の頬を触れると湿った感触を覚えたため、そこで自分が水を掛けられた事を認識する。
 水を掛けたニコラスさんの顔からは笑みが消え、激昂した表情で此方を見ている。鋭く、怒りに満ちた視線。クレハさんの顔からも笑みは消え去り、ゴミクズでも見るような目で此方を見ていた。
「君はまるで解ってない。彼女がどれだけ我々にとって重要な存在なのかも、君がどれだけ我々に不利益を与えているのかも! 私達は彼女をどのような思いで育てたのか解っているのか?! どれだけの教育を彼女に提供したのかを! 彼女は私達の理想に沿った成長を見せつつあった! その成長を、圧し折りあろう事か私達に意見をするようになった! お前が彼女に関わったせいで!!!」
 バンッ! と、ニコラスさんはテーブルを両手で叩く。
「本来ならば君に賠償したいくらいなんだよ? 彼女をココまで変えてしまったからね……」
「……つまる所、ユズリハをユズリハとして見てなかった訳ですか」
「ユズリハの事はちゃんと見ているさ、大切な……我々の理想に沿った娘なのだから」
「なるほど」
 「貴方の言い分はよく解りました」と俺が言い放つと同時にカチリという音。周りはキョトンとした表情で俺を見る。俺の左手はポケットに突っ込まれており、ゆっくりと音の正体を取り出す。鈍い色合いをした、小さな金属の塊を。

 ボイスレコーダー。
 液晶には『録音を停止しました』という文字が無機質に表示されている。

「これまでの会話、しっかり録音させて頂きました」
 俺は言う。静かに、事実を。
「ッ 君ってヤツは……!」
「そんな顔しないでくださいよ。別段録音されて困るような内容なんて話してないでしょう? なら、大丈夫ですよね」
 俺は笑む。悪辣としたものでも何でもない、ただの笑みを。
「貴方の言い分は聞きましたので、今度は此方の言い分を言わせて頂きましょう。単刀直入に言いますと、俺、怒っているんですよ」
 口元は笑っているのに、目は笑っていない。きっと今の俺はそんな表情を浮かべているのだろうか。さっきまで激昂の表情を見せていたニコラスさん達の表情に怯んだ印象が伺えられた。桐谷さんは変わらぬ様子で水を飲む。
「確かに俺は紫黒組が現組長・紫黒橘の甥です。それは否定出来ません、事実ですから。正直周囲にあれこれ言われた事もありましたし、中学時代は一時期それが原因で周囲と距離が置かれたくらいです。」
 つらつら言葉は口から零れる。
「そんな生活が何回かあったものですし、一定の距離を保てるような立ち位置に好んで立っていたんですよ。指摘された事は無いんですがね」
 言葉は続く。
「父も母もそんな俺を見ては『気にしなくて良い』と励ましてくれましたよ。……彼女との交際を考える時、実は彼等に相談したんですが……その時も」
 ――『“あそこ”の事を気にする必要は無い。血の繋がりは避けられないが、お前は別に“あそこ”と直接深い関わりは無いんだ。それを意識して自分の本音を無理に抑えなくて良いんだよ。いつかはバレる時は来るだろうが、その時は堂々と胸を張って言えば良いさ。「俺は“龍宮”槐だ」と
 ――『お父さんも言いましたが、貴方自身は直接“あそこ”と関わりはございません。存分に青春を謳歌してくださいな
 あの時の両親の言葉が脳裏に蘇る。
「血の繋がりは否定しませんが、貴方の発言は捉えようによっては両親……特に母に対しての愚弄ともとれるんです。俺の事をとやかく言うのはかまいませんが、自分の周りを愚弄するのは許せません。その辺りの謝罪は求めます」
 ふぅ、と目を伏せ一息つく。
 ゆっくりと目を開け、二人を見る。

「俺はユズリハの事を愛しています。それも、俺の血筋と同じように変えられない事実です。貴方達がどれだけ『別れろ』と言っても、俺は彼女と別れる気は毛頭ございません」
 「それに」俺は続ける。
「そうやって彼女の事を思っていると言うのでしたら、もう少し彼女の声に耳を傾けてください。跡取りとしての彼女ではなく、娘としての彼女の声に」
 隣で「槐……」と漏らすユズリハの声が聞こえる。彼女は暫く目を閉じ俯いていたが、キッとした表情を浮かべ、「父上、母上」と言いながらニコラスさんとクレハさんを見る。
「私は……最初は何の疑いも無く貴方方の言うとおりに生きてきました。ですが、……蔵に閉じ込められたあの日から、貴方方が怖くなりました」
 彼女の右手が、俺のスーツの裾を引っ張る。かすかな震えを感じる。俺はそっと彼女の右手に自分の左手を重ねた。
「貴方方親の理想に答えるのが子の義務だ、そう言い聞かせて私はその後生活をしていきました。……彼と出会うまでは」
 彼女の言葉に、二人は変わらぬ表情を浮かべる。
「彼と過ごす日々というのは、楽しいです。……“ユズリハ(私)”でいられるから。“クスノキ(兄)の代わり”ではなく、“グループの跡取り”ではなく、“私”を見てくれるから……」
 彼女の顔が僅かに赤らむ。
「勘違いしないでください。今も変わらず教育を受けているのは、私の意志によるものです。貴方方に、ユズリハ・グローカスとして認められるために勉強しているのです。彼と交際する事でグループの跡取りとしての責務を放棄する気はありませんし、社は継ぐつもりです」
 両親を見る彼女の目には迷いは無い。真っ直ぐとした視線で親に送る彼女を見て、俺は安堵の表情を浮かべた。
「私達の交際を無理に認めてとは言いません……ですが、頑なに否定するのはやめてください。私も、彼の事を異性として想っているんです。私の愛する人を否定的に思われたら……悲しくなります」
「ユズリハ……」
 ニコラスは彼女の名を呼ぶ。
「まあ、認めるまでいかずとも様子見くらいは考えて宜しいのではないでしょうか?」
 ようやく桐谷さんの口がまともに動く。優雅に水を飲む彼の手には書類の束、彼は「これを見てください」と言いながら書類をそれぞれに手渡していく。
「今から6~7年前に行われたビジネスプランコンテストの受賞作品一覧です。確か当時ニコラスさんも選考の見学に来ましたよね?」
「ん、ああ……あの時のか。あの時の金賞作品は素晴らしかったね、思わず私も感心したよ」
「そうですか。その金賞の作品、誰が大元を作ったのかご存知でしょうか?」
「え?」
「書類をよく見てください」
 そう言って俺達はまじまじと書類を見る。
 金賞の作品。プラン名と、受賞者の名前、それから――

 『(原案:○○龍宮槐)』の文字

『…………ッ??!』
 グローカス家サイドが揃いも揃ってギョッとする中、俺は「あー」と思い出す。
「それ近所の兄ちゃんの手伝いをしていた時のだな。アイデア真っ白案も真っ白って中その人インフルエンザか何かにかかってよ、受験勉強の合間に善意で適当に思いついたプランを軽くまとめてみたのを渡したんだよなー」
 「いやー、懐かしい。アレ金賞だったんだ~……」俺はカラカラと笑う。唖然とした表情を浮かべる三人の存在には気付いたが、気にしない。
「……私も情報屋に調べてもらったらそんな話が出てきたものですから驚きましたよ。本当、まだ誰も彼を引き入れてないのならば桐谷コンツェルン(此方)に引き入れたいほどに」
「……ウソだろ……」
 ニコラスさんは呆然とする。クレハさんはもう唖然とした表情のまま、笑顔が戻らない。
「……父上、母上」
「……何だい?」
「それで、交際の件は……?」
「……」
 そんな具合に不思議な静寂を発生させたまま、会食は続き、終わった。
 「まだ認めないが、ひとまずは様子見させてもらう」という結論に辿り着いて。



「ありがとうございました、桐谷さん」
 会食を終え、SPと共に店を出る桐谷さんにユズリハは言う。
「……何の事でしょう?」
「槐の件、父上が会食を考えた段階で調べ始めたのでは無いのですか?」
「それこそ何の事やら。私はただ、私の好奇心で情報屋に彼の事を調べさせたに過ぎません」
 「それだけですよ」そう言って桐谷さんは立ち去る。最後に一言「それではまた今度お話しましょう」と言い残して。
「……ユズリハ、あの人と定期的に会っているのか?」
「あ、ああ。……ちょっとな」
 ユズリハは俺の問いに言葉を濁らす。
(まあ、セレブ同士だ。話す事もそれなりにあるんだろうな……)
 そんな事を考えながら、俺は彼女の隣を歩く。
(でも)
「? 槐、どうした?」
 俺の視線に気付いたのか、ユズリハは尋ねる。
「――何でもない」
 ふい、と視線を進む先に戻し歩を進めていく。「む、何だその反応は?!」という彼女の声が聞こえるが、構わず先を進む。

(……何か、妬けるや……)

 嗚呼、コレが嫉妬ってやつか。
 そんな事を考えながら、俺は歩を進めていく。

*****************************
5月17日
 龍宮槐、ユズリハ・グローカスの両親と会う
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HN:
小慶美(シャオチンメイ)
年齢:
34
性別:
女性
誕生日:
1990/03/09
職業:
一応学生
趣味:
色々
自己紹介:
幼い頃からの任●堂っ子。
闇の探検隊をプレイ中。
擬人化リクエストは消化しきれない。
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