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ポケダン(探検隊)チーム『シノギリハ』・『マシュマロ』・『ひだまり』・『カクテル』のネタを殴り書くそんなブログ。
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未来世界エピソード・ラスト。
頑張って書きましょうか。
目標は夏休みまで、多分無理だけど。
夏休みには好い加減設定とか色々付け加えたい所を付け加えられるようにしたい。



 *****
『ここだ。』
「―――!」
 案内されたチンメイの肩が僅かに跳ねた。
 幻の大地。
 時空の塔を降りた先、そこにある遺跡なるものの傍を通り過ぎた場所。
 ディアルガ、ことクロノスが彼女を此処まで導いた。
「…ね、ねぇクロノス………。 此処って、どうみても…アレだよね?」
『あぁ……』
 墓地だ。
 クロノスは端的に場所を一言で纏める。

 見渡す限りに広がる数多もの杭。

 その杭の一つ一つには個別の名と種族の名、性別、享年――だろう、一から三桁の数字。それと死んだ日付だろう数字の羅列――が刻まれていた。
 規則的に、等間隔で打ち付けられておらず、草木に埋もれて苔の付着した杭もあれば、色褪せ、文字も風化したような杭もある。遺族はいないのだろうか、お供え物も線香も、花もない。
『この墓は、700年ほど前に起きた戦で亡くなった者達が眠っている。』
 不規則に作られた墓の中で唯一、十字を拵えられた杭を打ち付けられ、中央にパルキアの肩の飾りとディアルガの胸部にある飾りを模して作られた銀細工のネックレスを交差させて下げられた墓標にクロノスは近付く。
『そして、この場所で 私は生まれたのだ。』


 突然の事だった。
 幻の大地から、大量のポケモンが時限の塔に迫った。
 何の目的でそこを目指したのかは今でも解らない。しかし、その攻撃的な視線はあまりにも異常で。
 つい、此方も触発されて攻撃態勢を取ってしまった。
 全てはそこが始まりだった。
 我々が迎撃の構えを取ったのを見て、相手は攻撃を始めた。
 それが危険なものと察知した母は、私の前に出て、私の代わりに死んだ。
 その全身に、彼女の血がべっとりと付いた。
 もう息をしていなかったのに、相手はまだ母に攻撃しようとする。
 屍であることを知っていて尚、当時私の傍にいてくれた者達が次々と庇い、命の火を消していく。

 違う。
 母を庇ったんじゃない、『戦うことを拒む私』を庇って死んだのだ。
 私の
 ソウ、ワタシノセイデ。

 ならば、戦いを拒む愚かな私は深い眠りに就きましょう。
 そして、戦いを望む『私』よ、目を覚ましてください。
 長年暗闇の中で押し潰されて眠っていた『闇』へ。
 どうか私の傍にいる仲間を守る為に、私の身体を使って下さい。
 意識が遠のく。
 しかし、深い眠りに就こうとしているのに、不安はない。
 意識が途切れる前に見えた、もう一人の私の背中。
 それに向かって、私はそっと呟いた。
『頼みますよ、“――”……』


『私の真の名は、“シュアン”。』
 ポツリと、クロノスは呟く。
『700年ほど前の戦乱にて、戦う為に “クロノス”と言うディアルガの中から生まれたもう一つの人格。』
 それが、私だと付け加えて、チンメイを見つめる。
 チンメイはキョトンとした表情で、彼を見つめ返していた。
 暫く口が閉ざされた状態だったが、数秒が経過した後、ようやく彼女の口が動いた。
「違うと思う。」
 真っ向からの否定。
 私の目が僅かに見開かれた。
「シュアンは、『戦う』為に生まれたんじゃない。 『大切な人を護りたい』と言う強い思いが、お前を生んだんだ。」
 そう言って、チンメイは真っ直ぐと私を見つめる。
 クロノスではない私を、じっと見据える。
 ドクリと、鼓動が強まる。
 同時に、自覚した。
 …そうか、私は―――
『いたいた。 やっと見つけたー』
 何処からか聞こえた、何者とも知れぬ声。
『!? 何者だ!!』
 私は声がした方向に顔を向け、吼える。
 ゆらり、と、視界の中央にあった木陰に歪みが生じた。
 そこから表れたのは、黒いポケモン。
 蒼く、また、白い瞳が此方を見つめ、笑みを浮かべている。
『貴様は、…ダークライ!?』
 あんこくポケモンと呼ばれるダークライが、今、私の前に佇んでいる。
『悪夢を見せる特性を持ち、故郷の者達に迫害されてきたお前が……一体この土地に何の用だ!!』
『ふふ。』
 吼える私に対しても、ダークライは笑みを崩す事がない。
『ボクはね、キミに用があるんだよ。』
 言いながら、ダークライは私に手を差し伸べる。
『時を司る神・ディアルガ…是非とも、ボクの願いの為に協力して欲しい。』
 奴の笑みが、深まる。
『先代からの野望…暗黒の世界を作り、支配者となる為には キミの力がどうしても必要なんだ。』
 勿論、キミだけじゃない、沢山の協力者が必要だ。
 ダークライは言う。
『協力、してくれるよね? だってキミはそんな野望の為に闇の中から生まれたのだから。』
 深紅の瞳が、見開かれるのが判る。
 己の爪がダークライの心臓を目掛けて向かっていくのはそれと同時だった。
「シュアン!?」
 チンメイが驚愕の表情をあらわにする中、ダークライは私の爪を軽々と避ける。
『貴様が……』
 長年の間燻られていた怒りが、爆発しそうだった。
『貴様がっ あの戦を―― 母を、仲間を、殺したと言うのか!!』
 咆哮が蒼い光を放ち、大地を、自然を戦慄かせる。
 その衝撃をも容易にダークライは回避していく。
 それどころか、私に近付こうと歩み始めた。
『違うよー。 戦を起こした原因は先代の“あくむ”だし、』
 『それに』ダークライは私の傍まで急接近し、囁く。
『母親と仲間を殺したのは、紛れもなく 自分、でしょ?』
 私の身体が、強張った。
 それを見たダークライは歪んだ笑みを一層深くさせ、左手を高々と伸ばす。

 現れたのは禍々しい光を見せる光球。
 そして、その延長線上にあるものは―――

『まさか、貴様………!?』
 光球が時限の塔目掛けて放たれたのは、その直後。
 数秒。
 ズガンッと轟音と同時に、時限の塔の一部が崩れ始めた。
『ぐ、ぁっ あぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!』
 同時に、私も崩れる。
「シュアン!? 大丈夫、ねぇっ! 返事して…… !?」
 チンメイの目が見開かれた。

 私の体の、色が、変貌を始めた。
 深く
 深く
 闇を思わせるような、濃紺に。

「シュア、ン…?」
 彼女は、恐る恐る私の名を呼ぶ。
 それはあまりにも心地の良い声で。
 闇に飲み込まれる意識は、次第に醜悪な本能を引きずり出していく。

 本能は囁く。
 欠片一つと少ない意識に、囁く。


 ――早くこの女を喰らえと

『』
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1990/03/09
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一応学生
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色々
自己紹介:
幼い頃からの任●堂っ子。
闇の探検隊をプレイ中。
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