ポケダン(探検隊)チーム『シノギリハ』・『マシュマロ』・『ひだまり』・『カクテル』のネタを殴り書くそんなブログ。
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続きからどうぞ。
長い長い。
長い長い。
*****
『ディアルガ様、何処へ行かれていたのですか。』
時限の塔へ戻ってきた時、真っ先にそう言ってきたのは我が側近に値するヨノワール。
若干此方を睨むように視線を合わせているが、そこまでの迫力は感ぜられない。
『……ヨノワールか。』
『ヨノワールか、じゃありません! それに、質問の答えにもなってませんよ!?』
『別にお前に話さねばならない場所でもない。 ただ、地上を見に行っていた。それだけだ。』
端的に述べると私は頂上に向かう足を進める。
背後でヨノワールが嘆息を漏らすのが聞こえた。
『まったく…。今日だけはその事を許しますが、明日は客人が来るんですから、この塔の中にいて下さいよ?』
『――「客人」…?』
『客人』
たったそれだけの言葉に私の脳裏には先程であった娘の姿が過ぎる。
『えぇ。 ディアルガ様、「時の御子」という存在がこの世にある事はご存知ですよね?』
『……あぁ、』
時の御子。
幾百年に一人(あるいは一匹)の割合で、とある条件が揃った時にのみ、触れたものの過去と未来を読む事が出来る『時空の叫び』を持つ存在。
そしてその者は、代々ディアルガに仕える風習があると言う。
『前にその者を見た時は、まだ私が子供で母が消滅していない時だったな。』
『そうですね。』
昔を懐かしむ言葉を述べると、ヨノワールは首肯する。
『あれから幾ばくかして、あの方の子孫の中で御子が生まれたそうで。 16年経過した今、ようやくその力に安定が窺えたらしく、パートナーと共に此方へ向かっているようです。』
『そうか………。』
声が僅かに弾む。
『楽しみだな。』
そう言って、私は笑む。
『私としては気疲れしないよう、控えめな方である事を期待したいですね。』
以前の御子がどんな人物であったかを思い出しながら、ヨノワールはそう言って溜息をついた。
翌日。
『……………』
『コレが、時の御子か…』
私の目の前に立つその存在の第一印象は『緑』。
――というか、ジュプトル。
体長が1mもないその存在を、私はただ見下ろしていた。
『先代時の御子が「子孫」、と聞いていたから私は人間を想像していたのだが…人間の間にポケモンが生まれるとは 不思議な世の中になったものだな。』
『いやいやいや、ディアルガ様!?そんな所で納得しないでください!! オイ貴様、時の御子はどうした!』
納得しかけた私を見た後、慌ててヨノワールはジュプトルに詰め寄る。
対してジュプトルも怒り出し――ヨノワールの言葉を借りるなら『逆ギレ』という現象だ――、『知らねーよ!アイツが勝手にホイホイ別ルートを進みだしたんだ!!追いかけた先は行き止まりだし、どうなってんだよこの塔!?』我々に反論する。
何と醜い諍いか、私は嘆息を漏らす。
すると、何処からか音が聞こえた。
――くぅ~~~~~~~~~…
『……?』
『これは…腹の虫の音か?』
『……………まさか…っ』
ジュプトルはそれに心当たりがあるのか、近辺の壁を見渡し始める。
腹の虫の音は尽きず、神経を研ぎ澄ませて見れば、今度は声がした。
「――――――ケイ、ビ……」
「助けて」
そう言い切った後声が途切れ、完全に聞こえなくなった。
長い沈黙が空間を支配する。
『…ヨノワール、大至急壁の中を探れ。』
『………了解しました。』
溜息ついてヨノワールは首肯し、壁の中へ進む。
全身をローブで覆い、スカーフを首に巻いており、空腹で意識を失った時の御子がヨノワールに救出されるのには5分と時間を要しなかった。
「いやぁ~ごめんね、助けてくれた上に食事も用意してくれて。」
時の御子はそう言いながら、ガツガツと、ヨノワールが差し出した食事を次々と平らげていく。
「つうかスカーフを使うとお腹が減りやすくなる事すっかり忘れててさ、本当参った参った。 アンタが助けてくれなかったらきっとあのまま餓死してたんだろうねー。あんがと。」
そう言って御子はヨノワールに笑顔を見せる。ヨノワールは苦笑で応対した。
その流れを私は傍観者のように眺めるだけ。
(にしても…)
御子の声はやけに心地よく思える。
同時に、懐かしさも感ぜられた。
(この声は―――)
『オイ。』
先程から仏頂面で無言のまま佇んでいたジュプトルが、此処でようやく口を開く。
鋭い視線は御子をまっすぐと見据えていた。
『お前、時の御子だよな? 何百年に一人ぐらいの計算で生まれる、時空の叫びが使えて、そしてディアルガに仕える運命にある 時の、御子だよな?』
所々言葉を区切らせている辺り、相当ジュプトルも怒っているようだ。
「うん。 短く言えばそんな説明で片付けられる立場になるねー。」
しかし御子はそれに気付いていないのか、それとも気付いていて尚且つ流しているのか判らない返しをする。ジュプトルの青筋が一つ増えた。
『で? オレの立場を、説明してみろよ。時の御子様??』
「時の御子が時空の叫びを使う際に、その場にいなくちゃならない最高のパートナー。 兼、時限の塔へ向かうまでの護衛と世話係、もしくはオトン でしょ?」
『違う!!』
遂に切れたジュプトルがダンッと拳を床に叩きつける。
『「時の御子が時空の叫びを使う際に、その場にいなくちゃならない最高のパートナー。 兼、時限の塔へ向かうまでの護衛」は合ってる! がっ、何だ「世話係」って!?更には「オトン」って何だよチキショー!!?』
「あーもう、うるさいなー。 一応食事中だから騒ぐなよ。」
軽くあしらうかのように反論する御子に対してジュプトルは逆上し続ける。
『いや、今日と言う今日は許さん! そこに直れ、オレのリーフブレードの餌食にしてやる!!』
「やだねーこれだから精神的にオトンな奴は。 つーか『そこに直れ』って何だよ、いつの時代の武士気取り?」
『………!』
ざわり、と胸が騒ぐ。
――「ふぅ、ようやくあの精神オトンから逃げ切れた……」
――「あはははは! 捕まえられるものなら捕まえてみやがれこの体長90cmオトンが!」
『貴様、まさか 昨日の――』
私は無意識の内に呟く。
それを聞き取ったヨノワールは『ディ…ディアルガ様、お知り合いで!?』と動揺するが、軽く無視。
御子は言葉に対して、その口元には笑みがうかがえられた。
「覚えててくれてたんだ、ありがと。」
「じゃ、改めて自己紹介をば。」御子はそう言って、今まで全身を覆っていたローブを取り外し、本当の姿を露にする。
黒の髪は肩ほどまでに伸び、瞳は琥珀。蒼を主体とした着物のようなものを着用しているが、更にその下に濃紺のズボンと言うものを穿いている。体付きは娘そのものだが、顔立ちは男(おのこ)のようにも見える。
「今代時の御子がチンメイ、此方のジュプトルはパートナーのケイビ」
以後、お見知りおきを。
そう言って御子こと、チンメイは軽く頭を下げた。
こうして私は彼女と、正式な出会いを果たしたのである。
時限の塔へ戻ってきた時、真っ先にそう言ってきたのは我が側近に値するヨノワール。
若干此方を睨むように視線を合わせているが、そこまでの迫力は感ぜられない。
『……ヨノワールか。』
『ヨノワールか、じゃありません! それに、質問の答えにもなってませんよ!?』
『別にお前に話さねばならない場所でもない。 ただ、地上を見に行っていた。それだけだ。』
端的に述べると私は頂上に向かう足を進める。
背後でヨノワールが嘆息を漏らすのが聞こえた。
『まったく…。今日だけはその事を許しますが、明日は客人が来るんですから、この塔の中にいて下さいよ?』
『――「客人」…?』
『客人』
たったそれだけの言葉に私の脳裏には先程であった娘の姿が過ぎる。
『えぇ。 ディアルガ様、「時の御子」という存在がこの世にある事はご存知ですよね?』
『……あぁ、』
時の御子。
幾百年に一人(あるいは一匹)の割合で、とある条件が揃った時にのみ、触れたものの過去と未来を読む事が出来る『時空の叫び』を持つ存在。
そしてその者は、代々ディアルガに仕える風習があると言う。
『前にその者を見た時は、まだ私が子供で母が消滅していない時だったな。』
『そうですね。』
昔を懐かしむ言葉を述べると、ヨノワールは首肯する。
『あれから幾ばくかして、あの方の子孫の中で御子が生まれたそうで。 16年経過した今、ようやくその力に安定が窺えたらしく、パートナーと共に此方へ向かっているようです。』
『そうか………。』
声が僅かに弾む。
『楽しみだな。』
そう言って、私は笑む。
『私としては気疲れしないよう、控えめな方である事を期待したいですね。』
以前の御子がどんな人物であったかを思い出しながら、ヨノワールはそう言って溜息をついた。
翌日。
『……………』
『コレが、時の御子か…』
私の目の前に立つその存在の第一印象は『緑』。
――というか、ジュプトル。
体長が1mもないその存在を、私はただ見下ろしていた。
『先代時の御子が「子孫」、と聞いていたから私は人間を想像していたのだが…人間の間にポケモンが生まれるとは 不思議な世の中になったものだな。』
『いやいやいや、ディアルガ様!?そんな所で納得しないでください!! オイ貴様、時の御子はどうした!』
納得しかけた私を見た後、慌ててヨノワールはジュプトルに詰め寄る。
対してジュプトルも怒り出し――ヨノワールの言葉を借りるなら『逆ギレ』という現象だ――、『知らねーよ!アイツが勝手にホイホイ別ルートを進みだしたんだ!!追いかけた先は行き止まりだし、どうなってんだよこの塔!?』我々に反論する。
何と醜い諍いか、私は嘆息を漏らす。
すると、何処からか音が聞こえた。
――くぅ~~~~~~~~~…
『……?』
『これは…腹の虫の音か?』
『……………まさか…っ』
ジュプトルはそれに心当たりがあるのか、近辺の壁を見渡し始める。
腹の虫の音は尽きず、神経を研ぎ澄ませて見れば、今度は声がした。
「――――――ケイ、ビ……」
「助けて」
そう言い切った後声が途切れ、完全に聞こえなくなった。
長い沈黙が空間を支配する。
『…ヨノワール、大至急壁の中を探れ。』
『………了解しました。』
溜息ついてヨノワールは首肯し、壁の中へ進む。
全身をローブで覆い、スカーフを首に巻いており、空腹で意識を失った時の御子がヨノワールに救出されるのには5分と時間を要しなかった。
「いやぁ~ごめんね、助けてくれた上に食事も用意してくれて。」
時の御子はそう言いながら、ガツガツと、ヨノワールが差し出した食事を次々と平らげていく。
「つうかスカーフを使うとお腹が減りやすくなる事すっかり忘れててさ、本当参った参った。 アンタが助けてくれなかったらきっとあのまま餓死してたんだろうねー。あんがと。」
そう言って御子はヨノワールに笑顔を見せる。ヨノワールは苦笑で応対した。
その流れを私は傍観者のように眺めるだけ。
(にしても…)
御子の声はやけに心地よく思える。
同時に、懐かしさも感ぜられた。
(この声は―――)
『オイ。』
先程から仏頂面で無言のまま佇んでいたジュプトルが、此処でようやく口を開く。
鋭い視線は御子をまっすぐと見据えていた。
『お前、時の御子だよな? 何百年に一人ぐらいの計算で生まれる、時空の叫びが使えて、そしてディアルガに仕える運命にある 時の、御子だよな?』
所々言葉を区切らせている辺り、相当ジュプトルも怒っているようだ。
「うん。 短く言えばそんな説明で片付けられる立場になるねー。」
しかし御子はそれに気付いていないのか、それとも気付いていて尚且つ流しているのか判らない返しをする。ジュプトルの青筋が一つ増えた。
『で? オレの立場を、説明してみろよ。時の御子様??』
「時の御子が時空の叫びを使う際に、その場にいなくちゃならない最高のパートナー。 兼、時限の塔へ向かうまでの護衛と世話係、もしくはオトン でしょ?」
『違う!!』
遂に切れたジュプトルがダンッと拳を床に叩きつける。
『「時の御子が時空の叫びを使う際に、その場にいなくちゃならない最高のパートナー。 兼、時限の塔へ向かうまでの護衛」は合ってる! がっ、何だ「世話係」って!?更には「オトン」って何だよチキショー!!?』
「あーもう、うるさいなー。 一応食事中だから騒ぐなよ。」
軽くあしらうかのように反論する御子に対してジュプトルは逆上し続ける。
『いや、今日と言う今日は許さん! そこに直れ、オレのリーフブレードの餌食にしてやる!!』
「やだねーこれだから精神的にオトンな奴は。 つーか『そこに直れ』って何だよ、いつの時代の武士気取り?」
『………!』
ざわり、と胸が騒ぐ。
――「ふぅ、ようやくあの精神オトンから逃げ切れた……」
――「あはははは! 捕まえられるものなら捕まえてみやがれこの体長90cmオトンが!」
『貴様、まさか 昨日の――』
私は無意識の内に呟く。
それを聞き取ったヨノワールは『ディ…ディアルガ様、お知り合いで!?』と動揺するが、軽く無視。
御子は言葉に対して、その口元には笑みがうかがえられた。
「覚えててくれてたんだ、ありがと。」
「じゃ、改めて自己紹介をば。」御子はそう言って、今まで全身を覆っていたローブを取り外し、本当の姿を露にする。
黒の髪は肩ほどまでに伸び、瞳は琥珀。蒼を主体とした着物のようなものを着用しているが、更にその下に濃紺のズボンと言うものを穿いている。体付きは娘そのものだが、顔立ちは男(おのこ)のようにも見える。
「今代時の御子がチンメイ、此方のジュプトルはパートナーのケイビ」
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HN:
小慶美(シャオチンメイ)
年齢:
34
HP:
性別:
女性
誕生日:
1990/03/09
職業:
一応学生
趣味:
色々
自己紹介:
幼い頃からの任●堂っ子。
闇の探検隊をプレイ中。
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