【第二回戦】吾身狂歌【春闘大会】 2016/04/01_Fri_23:08

さぁ、発狂の時間だ

　祭りは嫌いだ。
　人で賑わうから。
　……それだけ一斉に【声】を聞く事となるから。
「――全員参加、だ、と……？」
　嫌悪感丸出しで俺は指示書を読み返す。最大の盛り上がりとなるだろう祭りの一部、騎士団全員によるバトルロワイヤル。
　その参加者について、騎士団は全員、強制参加ということだ。
「……レジギガス殿とクレセリア様は、俺の魔力のことをご存知かな？」
　ぐしゃりと指示書を握り潰す。不愉快不快全開の声音で搾り出された一言は
「ふ――っっっざけんじゃねぇよクソ上司がぁぁぁぁああああぁぁぁっ！！！」
　通常聞くことも無さそうなきたない口調の怒号として、寄宿舎の一部に響くこととなった。



　それから数日。
　祭りの当日である今日、俺はいつもよりも重い足取りで会場を目指す。なるだけ人と会わないように。なるだけ【声】が聞こえないように。
　会場を目指す。嫌でも【声】が聞こえてくる。
　大小さまざまな音量で、様々な声音で、聴覚でなく直接脳に響くような感覚を覚える。

　会場に辿り着く。会場に入った俺の形相は相当だったのか、心配するものがいた。誰かはよく覚えていない。
　さっさと終わりを迎えて去ろう、そう思いながらコロシアムの舞台へ入っていった。

　その直後だった。

　ドクン、と大きな音が胸中を木霊した。
　【声】が聞こえる。道中よりも大きく……いや、聞こえやすくなっている？
　ドクリ、と鼓動が早鐘をうつ。胸の辺りが熱い、熱を帯びた部分を掻き毟るように右手をやる。
「――ッ」
「…………？！」
　誰かの声が聞こえる。口から発せられた声が。
　だがそれも、

　【声】が
　　　　【声】が
　　　　　　　　【声】が
　　【声】が
　　　　　　【声】が【声】が

　【声】が【声】が【声】が【声】が【声】が【声】が【声】が【声】が【声】が【声】が【声】が全てを上塗りしていく。

　人のそれとは到底思えない声が聞こえた。
　それが己が発したものだと気付いたのは数秒経過してからのことだった。



　口から発せられた声よりも
　頭に響く【声】が五月蝿くて

 

　――【声】の元を断とうと、俺は獣のように暴れ狂い出した。

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【基本行動方針】
　会場に入った直後、【人の心の声が聞こえる】魔力が暴走・インターバル内で入手
　したメガストーンによる強化でメガシンカします
　肉声よりも心の声のほうがより聞こえて発狂しているため、理性的な説得は困難な
　ようです
　心の声を発する者達をどうにかしようと暴れ狂ってます