【第一回戦】破いた手紙の残骸に【終了後】 2016/03/28_Mon_10:33

後日談

　寄宿舎に戻ると、手紙が届いていた。実家から定期的に来る、形式だけの手紙だ。

「これはすばらしいことだ。息子のことをよろしく頼みます」

　かつて騎士団への入団の話が持ち込まれた時、父は笑顔で見送った。
　それと同時に

《これはいい厄介払いが出来た》

　という【声】が聞こえたのは、今でも忘れない。
　騎士団に入団してから、こうやって手紙が届くのはある。が、手紙を読まずともそれが体裁目的で送っている形式だけの手紙というのはわかった。
　だから、いつも封を開ける事無く、中身を確認する事無く俺は手紙を破り捨てていた。今回来ていた手紙もそうやって破り捨てていた。

　だが、今回の手紙はいつものものと違った。

　コトリ、と何かが落ちる音がした。音が聞こえた方向をみやると、球体がひとつ床に転がっている。



「何だ、これは……？」
　不思議な色彩をした球体、質感としては磨いた鉱石に近い印象を覚える。
　恐らく先程破り捨てた手紙から落ちてきたものだと推測できた。しかし、不思議と捨てる気が湧かなかった。

　しばらくして、寄宿舎の私室を出て食堂の片隅に座る。賑わう時間を避けたため、まだ静けさのある部屋の中。食堂の人は俺の変化に気付いたようで。
「あら、その首のはどうしたの？」



「……そちらには、関係の無い事だ」
　首に下げた装飾を弄びながら、俺は冷たく対応した。

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　ガイスト、メガストーン《ルカリオナイト》を手に入れる