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ポケダン(探検隊)チーム『シノギリハ』・『マシュマロ』・『ひだまり』・『カクテル』のネタを殴り書くそんなブログ。
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本当は漫画でやりたかったんだけど、実力のなさから短編小説もどきに。
オムのマシュマロに入る際のエピソードです。
一応完成してますが、時々修正をするかもです。



 *****
 ポツポツと雨が降る。
 オレは特にそれを気にしない。雨が降ったならその時は自分の特性の1つ『すいすい』が発動するから、寧ろ喜ばしい事だ。
 だが生憎、今しがた火を点けたばかりのタバコが湿気るのは気に食わない。きっと雨宿りがてら岩壁の片隅に移動しても湿気たそれに改めて点火するのは難しい。
 タバコに依存しがちな自身の禁断症状が出ない内に家に帰るが得策か。
 そう思って足早に帰路へ着こうとする身体は止まり、

 ――オレは『奴等』との出会いを果たす。

(…誰だ?)
 第一印象は朱と緑。
 傘を差して命に等しい尻尾の火を消すまいと懸命な努力をするヒトカゲは少し大きめの、しかし然程容量のなさそうな鞄を肩にかけており、地図と思しきものを広げて困ったような表情を浮かべる。その隣を仲間だろう、オレが大の苦手とする草ポケモンであるナエトルが、広げられたそれを同じように困った――ヒトカゲの方はその場だろうが、コイツは元々そのような表情を浮かべているようにも思える――表情を浮かべていた。
(こんな田舎に観光名所なんてねぇのに、一体何の用で―――…と)
 ふと視界にヒトカゲが肩にかけていた鞄につけられたバッジの紋章を確認する。
 掌の中に容易に納まるそれには両端に翼が生え、中央には淡い色合いの、球体状をした石がはめ込まれている。
(あのバッジ……あぁ、『探検隊』か。 こんな所までご苦労な事で)
 依頼だとしてもこんな田舎相手なら其処まで高い難易度の依頼でもなさそうだ。
 雨脚が徐々に強まる。
「困りましたね。」
 ヒトカゲが困ったような表情を崩さないまま、口を開く。
「どうやら道に迷ってしまったようです」
 その一言で相方だろうナエトルだけじゃなく、それを遠くで窺っていたオレも唖然とした表情を思わず浮かべた。ずっと咥えていた、雨に濡れて火が点かないタバコがポロリと落ちる。
「………あの、それって非常に困った事態じゃないのですか?」
「ですね」
 あはは、とヒトカゲは苦笑する。
 ――いや、笑い事じゃないだろ。
「まぁとりあえず一度来た道を戻ってみましょう、別の道があるかもしれないし。」
「そ、そうですね…。」
 ヒトカゲの提案に、慌てて隣のナエトルは笑顔を取り繕う。
 ナビゲートする側だろうヒトカゲが先頭に立ち、その後ろをナエトルがついていく。

 そしてそれらの背後を狙って襲い掛かろうとするジュゴンが一匹。

『……ッ!!』
 今まで気付いてなかったのだろう、二匹はジュゴンの動きに対して反応が遅れた。
 ナエトルはもうパニック状態に陥ってるし、ヒトカゲが攻撃するとしてもこの雨だ。大抵の炎は掻き消される。しかもジュゴンは『ぜったいれいど』を使う構えだ。運が悪ければ一撃でのされてしまう。
「クソ…………っ」
 オレは懐に入れていた拳銃を一挺引き抜く。ガチャリと安全装置を外し構え、引き鉄を躊躇いなく引いた。
 照準は既にジュゴンのどてっぱらに定まっている。
「ギャンッ」
 『みずでっぽう』を腹に受けたジュゴンは吼える。しかし、やはりと言うべきか、大したダメージはなく、標的を二匹からオレに変えようとしていた。
 チッと心の中で舌打ちする。
 しかし、ハッとしてその隙を逃さなかったナエトルが、一気に畳み掛けた。相性に長けた『はっぱカッター』一発でジュゴンは倒れる。
 雨脚が遠のいていく。
「あ、先程は助けていただき有難う御座います…!」
 そう言ってナエトルはペコリと一礼する。
「別に」
 オレはそのまま帰路へ着こうとしたが、ヒトカゲが咄嗟にオレの片腕を掴み、動きを制限する。
「……何だよ」
「キミ、この辺りの地理に詳しいですよね?」
 ヒトカゲはにっこりと笑みを浮かべる。
 そして一言
「僕達を階段の所まで案内してってください」



「いやー、何から何まで有難う御座います。」
 弱まる雨脚の中、階段の元まで辿り着くとヒトカゲは笑みを浮かべたままオレに礼を言う。
「いや、別に…」
 正直これ以上長居したくない気持ちでいっぱいだった。
 それは多分近くまでにいるナエトルが原因だと思う。相性然り彼女の態度然りでどうもコイツは苦手だ。
「で、ものは相談なのですが……」
「……は?」
 申し訳なさそうに苦笑しながら、ヒトカゲは此方の顔を窺ってみる。
「一体何だ。」
「宜しければ僕達のチームに入ってくれませんかね?」
「はぁ、何だそんな事――」
 一拍おいて、改めて思考を真っ白にしてさっきヒトカゲが言った言葉を反芻する。
 さっき奴はこう言った。
 『僕達のチームに入ってくれませんかね?』と。
 …………『僕達のチーム』…?
「は?」
「実は依頼遂行と同時に水ポケモンのスカウトをやっていたのですよ。いやいや丁度良かった。これでナエの負担が少し減りますね。」
「な…何を言うのですか、カゲさん!」
 ナエと呼ばれたナエトル――えらい単純な呼び名だな。オレも他人(ヒト)の事は言えんが――は顔を赤くしてカゲと呼ぶヒトカゲに顔を向ける。
 ヒトカゲ、ことカゲはナエと視線を合わせてやんわりと微笑んで言った。
「君は僕を水ポケモンから今の今まで護ってくれていた、しかし、僕は君を炎ポケモンから護れずにいた事が多い。 彼みたいな水ポケモンを仲間に誘えば、少しでも君の辛さを緩和出来るんじゃないかと常々思っていたんだよ。」
「! カゲさん……っ」
「オイ、そこの2匹。 今にも花畑を此処に発生させそうな勢いだが、少し話を戻させろ。」
 コレじゃ話が進まなさそうだし、流れに乗って俺が強制的に仲間になっちまうじゃないかという雰囲気を感知してオレは2匹の間にあった話の腰を折った。
「つまりアレか。 オレみたいに水タイプの技を使える奴を仲間に勧誘して炎ポケモンの対策を考えてたって訳か?」
「欲を言えば『よびみず』の特性があると助かるんですが」
「カラナクシあたりに話付けろよそこは。」
 どうもこのメンバーは自分のペースをことごとく崩していく。
「でも君は岩タイプでもある訳ですし、飛行タイプ対策にもなるじゃないですか。」
「……まぁ、確かに…」
 見た目に反して結構目敏いなコイツ。
「別に強制はしません。 君が良ければそれで良しですし、断れば、別の方を探すだけですから。」
 「どうします?」カゲは尋ねる。
「―――――…」
 オレはただ黙って考えた。

 『一体、何の為に自分はいるんだろう?』
 『何の為に生きているんだろう?』

 このようなあまりに陳腐な問いを、ふと、一度でも考えあぐねた事があるんじゃないだろうか。
 だが自分ひとりだけでその答えを見つけ出す事は困難に等しい。
 故あって、『何の為に』と、他者に委ねるかのような語彙と化していく。
「――――――……」
 チラリと、考える中で、視界に入る2匹の姿を一瞥する。
 引っ込み思案がちなナエは元々そう言う気質なのか、やたらめったらに神経を張り詰めている。
 対してカゲはそんな彼女の緊張をほぐそうとしてか、やや空回りがちな和やかオーラを放出させている。
「――――ハ、ハハッ」
 思わず笑みが漏れた。
 自分自身、唐突に笑いが込み上げるのは滅多にない事だ。
 何故笑いが漏れたのか解らない。
 だが、この2匹があまりにも


 ――『面白かった』。


「いいぜ、仲間になっても」
「!」
「本当ですか!?」
 ナエは怯えたようにビクリと肩を跳ね、カゲは心から喜んだように笑顔を浮かべた。
「あぁ」
 カゲの言葉に、オレは肯定する。
 雨脚は止み、晴れた光芒が一部を反射させ、洞窟の中では幻想的な空間を彩らせる。
 その中でオレは、ガラにもない笑みを浮かべたまま
「お前等と一緒にいたら、世界が面白く見えそうだ。」
 そう一言だけ述べて、階段の一段目を右足で踏み締めた。

 此処から自分の『世界』が変わる。



  **********

 大変長らくお待たせしました。小説の方はこれで一応完成となります。
 自分はプレイヤー違いますのでオムがどういった経緯で仲間になったのかは知らないので結構差が見え隠れしてますが。
 とりあえずオムナイトがいる場所、で調べた結果この小説の舞台は『磯の洞窟』。
 カゲやナエが危うそうなポケモンは何かを調べたら結果『ぜったいれいど』を使う事が出来るジュゴンとなりました。

 2008.4.18
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幼い頃からの任●堂っ子。
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