ポケダン(探検隊)チーム『シノギリハ』・『マシュマロ』・『ひだまり』・『カクテル』のネタを殴り書くそんなブログ。
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カイレンの話
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12月25日 19:26
とある宗教を信仰する者からしたらある人物が生まれた事を祝う時期であり、恋人とかがいる者からしたら個人次第ではソワソワする時期。それらに全く持って縁が無い、俺がよく利用するこの喫茶店は――
「……特にクリスマスとか関係ねぇのによくやるな」
イベント事に便乗する気満々とばかりに、空間は見事にクリスマス一色でお送りされていた。
「おや、その時期に合わせた装飾というのも店としては必要なものよ」
そう言って声をかけるのは、この喫茶店の店長であるコルコ。彼女もまた赤を基調に白のファーを添えつけた……サンタクロースを意識したのだろうデザインのドレスに身を包んでいる。彼女だけじゃない、この店の従業員の何割かはサンタクロースを意識した赤装束を纏い接客している。ただ、俺の仕事先でバイトしている槐はいつも通りの制服で接客していた。ヤツもまた俺と同様クリスマスに関心が無いためである。
――なんてことを適当に思索しているとコルコはニマリと笑みを浮かべ
「槐に宛てた服が余ってる事だし、どうせならアンタが着てみるかい? 服のサイズ同じくらいなんだろう?」
「断る」
「おや、つれないねぇ」
案の定ふざけた発言をかますから、此方は即座に断りを入れる。相手もそれを予想していたのだろう、わざとらしく「やれやれ」といった素振りをとっていた。
「案外動きにくくないから安心しろ」
「いや、動きにくそうだから断るって意味ではないんだが……」
そう言いながら「食後に」と頼んだコーヒーを右手側に置いていくのはこの店のバイト。「名前とか知らんのか」と言われそうだが、知らないからって問題は無いし、此方としては正直言おう、あまり店員に関心は無い。適当に顔を覚えていればそれだけでもある程度やっていけるし、知る必要性がよく解らない。
「てかクリスマスってのはそもそもどっかの誰かが降誕した事を祝う日だろ。別に信仰して無い奴等は便乗する必要ないんじゃねぇのか?」
「面白そうな事には首をつっこむのがアタシの流儀なもんでね。……ああ、そういやアンタは元々神官の家系だったっけ」
コルコの言葉に無言で俺はコーヒーを口に含む。ほろ苦く淹れられたソレは、俺にとって好ましい風味をしている事を嗅覚に伝えていく。
「へぇ、初耳」
「そりゃ許せないと思ってしまうかもだね。ま、やめる気はさらさら無いけどさ」
「誰も許せないとは言ってないだろ。むしろ俺はそういう宗教が嫌いな方だよ……得られるモノなんざ、何も無いからな」
最後の言葉は声量を抑えて、またコーヒーを一口。その動作の中でも己の脳を閉めるのは過去の思い出。“思い出”というにはあまりにも中身の無い、自分の記憶。
神官だった両親の元で育った俺は、絵本の代わりに聖書を読み、子守唄の代わりに聖歌を聞かされてきた。親は家の跡取りとなりえる俺をひたすら“自分が信仰する宗教”に染めようとしていた。――が、その親の姿があまりにも気味が悪く思え、俺は逆に宗教に関心が持てなかった。
親は敬虔な信者だった。いや、敬虔というよりはただただ異質だったのかもしれない。小学校の頃テストで満点をとったため、それを自慢しようと親にプリントを見せた。親はただ一言述べる、「そう、それは神に感謝せねば」と。親は自分の実力を褒める事無く、自分に背を向けて神像に祈りを捧げていった。
ほどなくして妹のルミナが生まれ、親が望むままに宗教に興味を抱いて育っていく。当然親は跡取りとして希望が感じられる妹を可愛がり、宗教を拒んだ俺との距離をあけていった。
正直な感想として青春とは程遠い人生を送ったのだと俺は思う。心は荒み、陰でケンカをするようになり、親に反抗の意思を示し、妹ともまともに会話をしなくなり、果てに家族に黙ったまま半ば家出同然という形で兵役について。
果たして俺は、何を望んだことだろうか。
「――あまり長居も良くないな。また今度メシ食いに来るわ」
そう言って俺は頼んだコーヒーを飲み干して席を立ち、代金を払って店を出た。「またのご来店をお待ちしてます」と、事務的な言葉が己の鼓膜を僅かに震わせて。
(やっぱ街もクリスマス一色だな……)
店を出て街に出ると、広間には巨大なクリスマスツリーが飾られ、あちらこちらでイルミネーションの灯りが点され、街頭では店のセールを宣伝して回るサンタクロースの着ぐるみが確認される。子供はプレゼントをねだり親はそれを微笑ましく眺め、カップルは店の中でプレゼント交換を行っている。
いつもの帰路は街道に沿っていくため、嫌でもクリスマス色が目に付いた。暫く歩き続けると、休日にふらりと立ち寄る教会もまた控えめにクリスマスの飾り付けがされており、人々を歓迎するとばかりに扉を開放し、信仰する者もそうでない者も、教会に足を運んでいた。
教会の関係者なのだろうか、小学校に満たないくらいの子供が来訪者にプレゼントを渡している。俺はそれを、離れた場所でぼんやりと眺めていた。
「……ぁ……っ」
「――あ?」
かすかに聞こえた低い声がした方角に、俺は顔を向ける。
ボロボロの布を被り、明らかに浮浪者と察せられる男(聞こえた声の低さから推測した)は、まるで化け物でも見るかのような恐怖心を此方に向けていた。決して人相は良い方ではないから、時々こうやって怖がられることはあるが、相手の反応は異常である。
少し反応を窺ってみていると、男は震えながら口を開いた。
「――カ、イ レ ン……?」
男の口から出たのは、紛れも無く自分の名前。
槐が勝手に付けたあだ名で周りじゃ馴染んでしまっているため、滅多に人に言う機会が無かった、自分の名前。
「何でアンタが、俺の名を――」
「っ 近付くなぁあああぁああぁぁぁっ!!」
男の叫びに応えるかのように突風が発生する。
「……?!」
突然の事で、頭の中が真っ白になった。「何だ今の」「何が起きた」「何でこんな都合よく風が?」当然浮かぶ疑問に答えが出ることは無く、数メートル後方に吹き飛ばされ、地面に数回身を叩きつける。多少受身を取れたものの、己の痛覚は痛みを脳に伝えていく。
「お前が、お前がオレに呪いをかけたせいでっ! オレは何もかも失ったんだ! お前のせいで、お前のせいで!!」
男が何を言っているのか理解出来ない。
は、呪い? 何、何でそこでンな非科学的な代物が出てくるの?? 俺が、お前を呪った? ワケわかんねぇよ。何で、つかお前誰??!
身をふらつかせながらも、立ち上がろうと地に足をつける。男は傍目から見ても錯乱しているのが感じ取られ、男の周りには風が吹き荒れている。少なくとも自然現象では絶対にありえない風が、男の周りで確認される。
(一体何が起きているんだ……?)
「そりゃ、さ。あの時は悪い事をしたとオレも思ったよ? お前キレて殴りかかってきたほどだもんな、恨まれてるとは思っていたさ」
「!」
男の言葉に、俺はハッとする。男が何を言っているのか、男は一体何者なのか、ようやく理解した。
「お前――」
「でもさ、呪う事ないよな……お前だって、オレと立場逆だったらするだろ? 仕方のないことだろ……」
男はブツブツと呟く。
「俺はお前がかけた呪いの所為で何もかも失った。妻に離婚を申し付けられ、子供にも会えない。親はオレを冷たい目で見捨て、職も、友も、はは……離れていった、離れていった……」
「だからお前は何を――」
「オイ相棒」
男は虚空に顔を向け、ブツブツと話す。その姿はあまりにも異質で、ゾクリと背筋に悪寒が走った。
数秒、虚空に何かを呟くと再び此方に顔を向ける。ニタリ、と。ねっとりとした薄気味悪い笑みを浮かべて。
「お前がオレに呪いをかけたのなら――」
「お前にも呪いをかけ返してやる」
その言葉と同時に、ガクッと膝が折れ、俺は倒れた。
首を、胸を押さえながら苦しみ悶えて。それを確認すると男は満足そうにして、街の陰へ姿を消した。
「ま、て……」
片腕を伸ばしても、男を捕まえるには間に合わず。力なく腕も地に落ちた。
『苦しい? 苦しいよね』
男の退散と入れ替わるように聞こえる子供の声。
『ほら、早く早く。教会に行かないと』
クイクイと服の袖を引っ張るその子供は、神官の服に身を包んでいるが まぎれもなく
『神の教えを無視した“罰”を、清めないと』
幼い頃の、“俺”と同じ顔をしていた。
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12月25日

カイレン・テンロウ 【信仰】の呪いを得る
※本当にチラッとですが 知藍さん、お借りいたしました!
とある宗教を信仰する者からしたらある人物が生まれた事を祝う時期であり、恋人とかがいる者からしたら個人次第ではソワソワする時期。それらに全く持って縁が無い、俺がよく利用するこの喫茶店は――
「……特にクリスマスとか関係ねぇのによくやるな」
イベント事に便乗する気満々とばかりに、空間は見事にクリスマス一色でお送りされていた。
「おや、その時期に合わせた装飾というのも店としては必要なものよ」
そう言って声をかけるのは、この喫茶店の店長であるコルコ。彼女もまた赤を基調に白のファーを添えつけた……サンタクロースを意識したのだろうデザインのドレスに身を包んでいる。彼女だけじゃない、この店の従業員の何割かはサンタクロースを意識した赤装束を纏い接客している。ただ、俺の仕事先でバイトしている槐はいつも通りの制服で接客していた。ヤツもまた俺と同様クリスマスに関心が無いためである。
――なんてことを適当に思索しているとコルコはニマリと笑みを浮かべ
「槐に宛てた服が余ってる事だし、どうせならアンタが着てみるかい? 服のサイズ同じくらいなんだろう?」
「断る」
「おや、つれないねぇ」
案の定ふざけた発言をかますから、此方は即座に断りを入れる。相手もそれを予想していたのだろう、わざとらしく「やれやれ」といった素振りをとっていた。
「案外動きにくくないから安心しろ」
「いや、動きにくそうだから断るって意味ではないんだが……」
そう言いながら「食後に」と頼んだコーヒーを右手側に置いていくのはこの店のバイト。「名前とか知らんのか」と言われそうだが、知らないからって問題は無いし、此方としては正直言おう、あまり店員に関心は無い。適当に顔を覚えていればそれだけでもある程度やっていけるし、知る必要性がよく解らない。
「てかクリスマスってのはそもそもどっかの誰かが降誕した事を祝う日だろ。別に信仰して無い奴等は便乗する必要ないんじゃねぇのか?」
「面白そうな事には首をつっこむのがアタシの流儀なもんでね。……ああ、そういやアンタは元々神官の家系だったっけ」
コルコの言葉に無言で俺はコーヒーを口に含む。ほろ苦く淹れられたソレは、俺にとって好ましい風味をしている事を嗅覚に伝えていく。
「へぇ、初耳」
「そりゃ許せないと思ってしまうかもだね。ま、やめる気はさらさら無いけどさ」
「誰も許せないとは言ってないだろ。むしろ俺はそういう宗教が嫌いな方だよ……得られるモノなんざ、何も無いからな」
最後の言葉は声量を抑えて、またコーヒーを一口。その動作の中でも己の脳を閉めるのは過去の思い出。“思い出”というにはあまりにも中身の無い、自分の記憶。
神官だった両親の元で育った俺は、絵本の代わりに聖書を読み、子守唄の代わりに聖歌を聞かされてきた。親は家の跡取りとなりえる俺をひたすら“自分が信仰する宗教”に染めようとしていた。――が、その親の姿があまりにも気味が悪く思え、俺は逆に宗教に関心が持てなかった。
親は敬虔な信者だった。いや、敬虔というよりはただただ異質だったのかもしれない。小学校の頃テストで満点をとったため、それを自慢しようと親にプリントを見せた。親はただ一言述べる、「そう、それは神に感謝せねば」と。親は自分の実力を褒める事無く、自分に背を向けて神像に祈りを捧げていった。
ほどなくして妹のルミナが生まれ、親が望むままに宗教に興味を抱いて育っていく。当然親は跡取りとして希望が感じられる妹を可愛がり、宗教を拒んだ俺との距離をあけていった。
正直な感想として青春とは程遠い人生を送ったのだと俺は思う。心は荒み、陰でケンカをするようになり、親に反抗の意思を示し、妹ともまともに会話をしなくなり、果てに家族に黙ったまま半ば家出同然という形で兵役について。
果たして俺は、何を望んだことだろうか。
「――あまり長居も良くないな。また今度メシ食いに来るわ」
そう言って俺は頼んだコーヒーを飲み干して席を立ち、代金を払って店を出た。「またのご来店をお待ちしてます」と、事務的な言葉が己の鼓膜を僅かに震わせて。
(やっぱ街もクリスマス一色だな……)
店を出て街に出ると、広間には巨大なクリスマスツリーが飾られ、あちらこちらでイルミネーションの灯りが点され、街頭では店のセールを宣伝して回るサンタクロースの着ぐるみが確認される。子供はプレゼントをねだり親はそれを微笑ましく眺め、カップルは店の中でプレゼント交換を行っている。
いつもの帰路は街道に沿っていくため、嫌でもクリスマス色が目に付いた。暫く歩き続けると、休日にふらりと立ち寄る教会もまた控えめにクリスマスの飾り付けがされており、人々を歓迎するとばかりに扉を開放し、信仰する者もそうでない者も、教会に足を運んでいた。
教会の関係者なのだろうか、小学校に満たないくらいの子供が来訪者にプレゼントを渡している。俺はそれを、離れた場所でぼんやりと眺めていた。
「……ぁ……っ」
「――あ?」
かすかに聞こえた低い声がした方角に、俺は顔を向ける。
ボロボロの布を被り、明らかに浮浪者と察せられる男(聞こえた声の低さから推測した)は、まるで化け物でも見るかのような恐怖心を此方に向けていた。決して人相は良い方ではないから、時々こうやって怖がられることはあるが、相手の反応は異常である。
少し反応を窺ってみていると、男は震えながら口を開いた。
「――カ、イ レ ン……?」
男の口から出たのは、紛れも無く自分の名前。
槐が勝手に付けたあだ名で周りじゃ馴染んでしまっているため、滅多に人に言う機会が無かった、自分の名前。
「何でアンタが、俺の名を――」
「っ 近付くなぁあああぁああぁぁぁっ!!」
男の叫びに応えるかのように突風が発生する。
「……?!」
突然の事で、頭の中が真っ白になった。「何だ今の」「何が起きた」「何でこんな都合よく風が?」当然浮かぶ疑問に答えが出ることは無く、数メートル後方に吹き飛ばされ、地面に数回身を叩きつける。多少受身を取れたものの、己の痛覚は痛みを脳に伝えていく。
「お前が、お前がオレに呪いをかけたせいでっ! オレは何もかも失ったんだ! お前のせいで、お前のせいで!!」
男が何を言っているのか理解出来ない。
は、呪い? 何、何でそこでンな非科学的な代物が出てくるの?? 俺が、お前を呪った? ワケわかんねぇよ。何で、つかお前誰??!
身をふらつかせながらも、立ち上がろうと地に足をつける。男は傍目から見ても錯乱しているのが感じ取られ、男の周りには風が吹き荒れている。少なくとも自然現象では絶対にありえない風が、男の周りで確認される。
(一体何が起きているんだ……?)
「そりゃ、さ。あの時は悪い事をしたとオレも思ったよ? お前キレて殴りかかってきたほどだもんな、恨まれてるとは思っていたさ」
「!」
男の言葉に、俺はハッとする。男が何を言っているのか、男は一体何者なのか、ようやく理解した。
「お前――」
「でもさ、呪う事ないよな……お前だって、オレと立場逆だったらするだろ? 仕方のないことだろ……」
男はブツブツと呟く。
「俺はお前がかけた呪いの所為で何もかも失った。妻に離婚を申し付けられ、子供にも会えない。親はオレを冷たい目で見捨て、職も、友も、はは……離れていった、離れていった……」
「だからお前は何を――」
「オイ相棒」
男は虚空に顔を向け、ブツブツと話す。その姿はあまりにも異質で、ゾクリと背筋に悪寒が走った。
数秒、虚空に何かを呟くと再び此方に顔を向ける。ニタリ、と。ねっとりとした薄気味悪い笑みを浮かべて。
「お前がオレに呪いをかけたのなら――」
「お前にも呪いをかけ返してやる」
その言葉と同時に、ガクッと膝が折れ、俺は倒れた。
首を、胸を押さえながら苦しみ悶えて。それを確認すると男は満足そうにして、街の陰へ姿を消した。
「ま、て……」
片腕を伸ばしても、男を捕まえるには間に合わず。力なく腕も地に落ちた。
『苦しい? 苦しいよね』
男の退散と入れ替わるように聞こえる子供の声。
『ほら、早く早く。教会に行かないと』
クイクイと服の袖を引っ張るその子供は、神官の服に身を包んでいるが まぎれもなく
『神の教えを無視した“罰”を、清めないと』
幼い頃の、“俺”と同じ顔をしていた。
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12月25日
カイレン・テンロウ 【信仰】の呪いを得る
※本当にチラッとですが 知藍さん、お借りいたしました!
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HN:
小慶美(シャオチンメイ)
年齢:
35
HP:
性別:
女性
誕生日:
1990/03/09
職業:
一応学生
趣味:
色々
自己紹介:
幼い頃からの任●堂っ子。
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