ポケダン(探検隊)チーム『シノギリハ』・『マシュマロ』・『ひだまり』・『カクテル』のネタを殴り書くそんなブログ。
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それは、邂逅
*****
ざしゅ、ぐちゃり。嫌な音が茂みの中に響く。
音の主は一体のキリキザン。
その周りには近辺で暮らしていたのだろう、野生のポケモン達や、迷い込んできた人間達が無残な姿で転がっている。
傍らには惨状を作り出した際に使われたのだろう剣が、地面に突き刺さっていた。
ぐちゃり、ぬちゃりと気味の悪い音が続く。
キリキザンは近くに転がった死体を掻き回していた。
その表情は非常に恍惚としており、口元は歪んだ笑みを浮かべている。
その顔には、身体にはベッタリと誰かの血液が付着しているが、彼は気にしていなかった。
「……ッチ、もう冷めてきやがった…」
死体をグチャグチャにしていた男は、急にイラついた表情を浮かべて立ち上がった。彼が掻き回していた死体の体温がなくなったためである。
「もっと長く残らねぇのかな」と呟きながら、男はさっきまで掻き回していた死体を蹴り飛ばし、剣を手に取りまた何処かへ彷徨い始めた。歪んだ笑みを浮かべたまま。
――足リナイ。
コレジャ、マダ足リナイ。
モット触レ合イタイ。
ソウ、モット。モット、モット、モット!
――モット沢山ノ人ト触レ合イタイッ!!
(また新しいターゲットを探すか……)
キリキザン・テイシンは乱れた前髪を掻き揚げながら、茂みを彷徨う。
その口元は歪んだ笑みを浮かべているが、瞳は虚空を眺めている。それがまた彼の異質な雰囲気を表現していた。
その気配に、狂気が纏う。
そんな彼の前に、女性が一人佇んだ。
それは一体のキリキザン。
月明かりに照らされた女性は、テイシンを正面からジッと見つめている。
悲しい色を潜めた、その瞳で。
「……何だお前?」
テイシンは自分を見つめる女性を睨めつけた。
それでも女性は怯むことなく、彼を見つめている。
その口は何も言わない、しかし目は何かを訴えたがっている。
彼女の目に、言いようも無い苛立ちをテイシンは覚えた。
「俺に何か用なのか……?」
「……私はシナーと申します」
彼女は静かに言葉を口にした、出た『シナー』というのは、名前なのだろうか。
「教会に住む、ただのシスターでございます。……哀れな迷える魂よ」
「――あ゛?」
テイシンの顔に歪んだ笑みは消え、その眉間にシワが寄った。
シナーという女性は再び口を閉ざしてテイシンを見つめる。
その目で彼女は彼に何を伝えたいのか、それは未だ判然としない。
無言な時間が続く中、テイシンはニヤリと口元を歪めた。
……そうだ、次のターゲットはコイツにしよう
剣を握る手に力が込められる。
相手との距離を目測する。
無意識に舌なめずりをしていた。
再び狂気が纏われる。
――ズタズタに切り裂いて、その死体を掻き回そう。
――いや、見た所なかなか上玉そうだから、殺す前に一度くらいは犯してしまおうか。
遠い物陰からでも感じ取られそうなその異質な雰囲気を前にしてなお、シナーはテイシンから逃げようとせず、彼を見つめ続けている。
もう諦めているのだろうか。
テイシンの目は狩りを楽しむ獣のようにギラついている。
そんな中、彼女は静かに口を開いた。
「……かわいそうな人……」
間を詰めようとしたテイシンに向かって紡がれた言葉には哀れみの感情が込められている。
彼の足は地を蹴った。
数瞬で間は詰められた。
両手を押さえつけられたまま組み敷かれ、その視界の端に砥がれたナイフの刃が映ったのにも関わらず、彼女は哀れみの目で彼を見つめ続ける。
「――随分と冷静だな。次はお前が殺されるんだぜ?」
「…………」
彼女は何も語らない。
状況を未だ理解し切れてないのか、それともその思考回路は現実を逃避し始めているのだろうか。テイシンはその答えを聞く事はしない。
なら、現実を理解してもらおうじゃねぇか。彼は手にしたナイフでシナーの長いスカートを切り裂いた。
スカートの切れ端で彼女の両手を完全に拘束し、上半身の装束も切り裂いていく。色白な肌と下着が雲から覗く月明かりに照らされる。
(顔だけじゃなくて、身体も結構な上玉だったか……そいつはイイ)
舌なめずりするも、これまでに感じたような高揚感は感じられない。
「…………」
拘束され、衣服も裂かれているという危機的状況を前にしてもなお、シナーはテイシンを見つめていた。
其処に恐怖も、嫌悪も、憎悪も無い。あるのは、哀れみのみ。
その目に彼は苛立つ。
「お前……この状況解ってるのか? 名も知らねぇ男に強姦され、殺される所なのに、何だその目は? お前に恐怖は無いのか、それとも……犯されるのは本望ってか? 『罪の女(ザ・シナー)』には情報次第じゃ“娼婦”の意になるから、それも理由に入るのか?」
「――私が貴方に抱かれれば、貴方の魂は救われるのですか?」
「……は?」
眉間にシワを寄せるテイシンの背に、シナーは手を添えた。
ざわり、と。彼の中の何かが訴えかける。
何を訴えようとしているのか、それはわからない。だが、何かを伝えようとしている。
「どれだけの人を殺めても、どれだけの死体に残る熱を貪っても、徒にかき抱いても、貴方の魂は満たされなかったのではないですか? 貴方の心の飢えや渇きは、解放されなかったのではないですか?」
彼女はただ静かに言葉を紡ぐ。
その言葉に、彼の中の何かがざわついていく。
今まで感じることのなかった何かが、訴えてくる。
この女は“何か”を知っている。
俺の知らない“何か”を。
俺が知らなくて、しかし俺にとって核となるのかもしれない“何か”を。
「貴方が求めている事は、このような行為ではないはずです」
聞き入れる気は無いのに、無いはずなのに。この耳は彼女の声を脳に届けて思考回路をかき乱していく。
漆黒の瞳はまっすぐと自分の姿を映す。
ただ静かに。
「貴方はただ」
「もう喋んじゃねぇよ……っ」
これ以上この女を喋らせてはならない。兎に角、コイツの平常心を奪わなければ。
本能が告げる警鐘に従ってテイシンはシナーの唇に、自分のそれを重ねる。舌をねじ込んで彼女の口内を犯していった。彼女の身体がビクリと震える。
深く深く口付けている間に彼女の両手を上部へ持っていき、裂いた衣服の切れ端で縛る。
口を離せば、互いの間に唾液の糸が引いた。
「……は……っ」
(これ以上何かを話させないよう、畳み掛けてやる……!)
そう思ってテイシンは彼女のブラをたくし上げ、露になった胸を執拗に揉みしだき、突起を弄って刺激する。
チラリとシナーの顔を覗いてみると、彼女は若干恥ずかしそうに顔を赤らめている。口からは僅かに嬌声が漏れている。どうやらこの行為に感じているようだ。
――感じている。
その事実を知った途端、今までざわついていた何かが急に落ち着き払い、余裕を、いつもの自分を取り戻す。
「……何だぁ? 犯されてるくせに、感じてやがンのか」
耳元で「この売女が」と囁いてみれば、彼女の顔は一層紅潮した。だがその目線は(逸らさないのか、逸らせないのか)此方を見つめている。
ニタリ、と嫌な笑みを浮かべながらテイシンは胸の突起を舐る。舌で弾いてみたり、吸い付いてみたりと愛撫をすれば、シナーの身体はビクビクと痙攣し、その口からは嬌声が漏れる。
“自分が上の立場にある”という優越感が、彼の顔に浮かぶ歪んだ笑みを濃くしていった。
「あぁっ!」
左手は下腹部をすべり、秘所に指を浅く挿入し始める。トロトロとした蜜が彼の指を伝う。
「ほぉーら、……こんなに濡らしてやがる」
「淫乱な女だ」彼女に見せ付けるように指に塗れた蜜を舐めとると、生理的なものだろうか、彼女の目から涙が流れ出た。
(もう俺に何か言う余裕はなくなってきたな)
そろそろか。テイシンは濡れた秘所を眺めながら、彼女の足を片方抱え、あいた片手で自身を取り出し、其処にあてがう。
気持ち良くなんかしてやらねぇよ。
存分に犯して、弄んだら
この手で無残な姿に
「……あの……」
シナーの口が再び開いた。嬌声ではない、言葉をその口は紡ぎ始める。
彼女の身体は熱で火照り、呼吸も決して落ち着いたものではない。漆黒の瞳も涙で潤み、充分色気のある姿となっている。
まだ喋れるのかと、テイシンは舌打ちした。
「私は……これから貴方と 交わるのですね……」
「……? あぁ、そうだよ。今更怖くなりました放して下さいとか言うんじゃねぇだろうなぁ?」
「……いえ……ただ、お願いがあります」
「この拘束を、解いて下さい」
この拘束、と言うのは上部に固定され、裂いた衣服の布で縛られた両手の事だろう。というか、それ以外に拘束してる所なんて無いのだが。
「これを解いたらすぐに逃げようって算段か? それを簡単にさせるほど俺が余裕のねぇヤツに見えるのかなお前には?」
「――逃亡は、致しません。約束します。……それと……、貴方の名前を教えて下さい……。」
「……俺の名前を聞いてどうするってんだ?」
「だって……このままの状態では……」
「……貴方の名を呼んで、貴方を抱き締める事も出来ないでしょう?」
思考が一瞬、混乱した。
この女は何を言ってやがる?
俺の名を呼んで? 俺を抱き締める?
コレは“強姦”だ、相思相愛のカップルによる“和姦”とは違う。犯されてる立場だと言うのに、何甘い事考えてるだ? コイツは。
固まったテイシンに対して、シナーは微笑みながら続ける。
「貴方が私の、その……胸に……吸い付いていた時。……何だか、一生懸命に母乳を飲もうとする赤子のように見えました。」
彼女が紡ぐ言葉に、また自分の中の何かがざわつき始める。
「前戯、と言うのでしょうか? それをしている時のあなたの目は……とても嬉しそうで、反面、寂しそうでした」
まるで、欲しかったものが手に入ったと思って喜んだものの、違うものであると気付いた、子供のような。
喜んでいたけど、ショックで、笑うべきなのか泣くべきなのか判らない、複雑な表情。
「――何言ってんだ、おま」
「私に触れて、他者の生きた“温もり”を感じる事が出来て、幸せだと思えましたか?」
その言葉に、体がビクリと反応した。
「私を拘束して、優越感に浸りながら私を犯して、それで貴方の心は満たされましたか?」
「……な……」
「満たされなかったのではないですか?」
「……るな」
「満たされなかったのでしょう? だって貴方は」
「喋んじゃねぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇっ!!!」
吐き出した怒号と同時に、テイシンはシナーの秘所に自身を挿入する。キツく締め上げる膣壁に対し、力ずくで腰を進める。ブチッと、何かが破れる音がした。
処女か。処女膜が破れた激痛で顔を歪める彼女の顔を見て、彼は笑みを浮かべようとする。
「――さ、び しか、った の、で、しょう……?」
言葉は続いた。
か細く掠れた声で、区切り区切りに。
あるのか判らない“心”のような何かが、揺らいだ。
呼吸を整え、彼女は生理的な涙を浮かべながら言葉を紡いでいく。
「誰にも触れてもらえなくて、抱き締めてもらえなくて、……愛されなくて。ずっと、寂しかったのではないですか?」
――生まれた子供はその刃が原因で周りに距離を置かれておりました。
「……貴方は始めから、誰かを傷つける事を目的として近付いたのではないと、私は思います……」
子供は初めて「誰かに触れると温かい」事を知りました。
そして子供は好奇心で、その親子に“触れてみよう”としました。
――その日、親子は死にました。
子供の目の前には血と死体が転がっています。
子供は血と死体から一つの熱を知りました。
――子供は初めて「誰かに触れる」ことを覚えました。
「貴方の心はもう、寂しさに耐えられなかったのだと思います。だから誰かに触れたかった、誰かに抱き締めてもらいたかった、誰かの温もりを感じたかった。誰かに、愛情を注いで欲しかった。」
――「……な子」
「否定、出来ますか……?」
不意に、テイシンの脳裏に声と共に映像が過ぎる。
ふらりと立ち寄った教会、いつものように、その刃で他人と“触れ合い”、奥へ奥へと彷徨って。ステンドグラスを通して床に光が注がれる空間に行き着いて。其処に誰かがいて、近付く俺に対して何か喋ってて……
「……かわいそうな子」
「あなたはただ、誰かに抱き締めてもらいたかっただけでしょう?」
「愛が欲しかっただけでしょう?」
「誰かの愛に飢えた哀れな迷える魂をどうか救って……」
するり。
「……あ…?」
ハッと意識を現実に戻すと、テイシンはシナーの拘束を解いていた。彼女の両手は自由になり、その手は彼の背に回す。そしてそのまま、子供をあやすように背を撫でる。
一気に呼吸が乱れる。
今まで、無意識の内に抑え込み続けていた何かが、外に出ようと競りあがってくる。その感覚が不快で、でも出さないままでいるのも不快で、無理矢理にでも出てこようとする何かと、それを必死で押さえつける自分がいた。
競りあがるものは、きっと今までの自分を否定するものだろう。
嫌だ、と思った。自分が、自分の中で“正しい事だ”と納得していた事を、否定されるのが。
それを完全に否定されたら、これからの自分は何をすればいいのだろうか。
わからない。分からない。判らない。
――怖い…ッ!
「怖いと思って、良いんですよ……?」
自分の中で渦巻く何かを感じ取ったのか、それとも気付かぬ内に声として出ていたのか。シナーは、赤と黒のツートンカラーという独特な長髪に触れる。
彼女は微笑んでいた。生理的な涙を浮かばせていたが、優しく、微笑んでいた。
ポタリと、自分が抑え込んでいた“何か”が落ちる。
もう、止まらない。止められない。
「名前を、教えてくれませんか?」
ツートンカラーの長髪を撫でながら、彼女は問う。
「……テイシン……」
彼女の身体に顔をうずめていたテイシンは、ボソボソと自分の名前を名乗る。先程までの狂気じみた雰囲気は欠片一つなく、若干鬱々とした静けさを放っている。
「テイシン、ですか。……テイシン、その……動いて大丈夫ですよ……?」
シナーは彼の名前を確認した後、恥ずかしそうに、続きの言葉を彼の耳にギリギリ届く程度の声音で紡ぎ出す。現在もまだ2人は、“秘所”で繋がっている状態だ。
「ひぁ……っ」
(――大きく、なってる……?)
自分の中に未だ存在している異物の変化に、思わず彼女は声を上げる。
異物は動きを見せた。
ゆっくりと、いやらしさを覚える水音を立てて。
「あっ は、ん……っ ぁ、テイ、シン……ッ!」
シナーは嬌声を漏らしながら、テイシンの服を強く掴む。
浅かった挿入も、次第に深く、限界まで引き抜いて腰に打ち付ける行為へと変わっていった。
「もう、寂しいと、思わなくて、良いのです……っ 私が、いますからっ 私が、傍に、いますから……っ! だから、もう……貴方は、独りでは、ありませんっ 温もりに飢えなくて、良いのですっ ただただ、自分が空しくなってしまう……無意味な殺しを、しなくてっ 良いのですよ……っ!?」
本能のような、獣を思わせる行為を行いながら、テイシンは無意識の内に涙を流した。
苦痛でも、悲愴でもなく、歓喜の涙を。
(――あぁ……)
ようやく、手に入った。
耳に届くは、自分の名。
自分の名を呼ぶ、他者の声。
刃を携える自分の身体を、真正面から触れてくれる。抱き締めてくれる。
視界に映るは、自分の名を呼ぶ声の主。
その顔には微笑が浮かんでおり、その身体は自分を受け入れている。
感じるはその者の鼓動。声。そして、体温。
飢えが満たされる気がした。
渇きが潤わされる気がした。
(――ようやく、俺は……)
互いに限界が来て、果てる時に、テイシンは涙を流したまま、子供のような無邪気な笑みを浮かべていた。
ふと、異臭が鼻について、テイシンは眠りから覚めた。
周りには数多もの死骸と、その周辺には飛び散ったような血痕があり、異臭の元は容易に判明出来た。
(――そうだ、この辺にいたヤツを適当に殺した後にあの女が現れて、そんで、犯したんだっけか……)
昨日の事を思い出し、テイシンは赤と黒の独特なツートンカラーの髪をガシガシと掻きながら身を起こして、乱れた衣服を整えていく。
隣には外套を掛け布団の代わりにして眠るシナーの姿。頭を覆っていた布も外されており、露になった白銀の髪が、そよそよと風に揺れている。
死体だらけのこの場所で心地よく眠れるとは、見た目の割には結構図太い神経をしてるなと彼は独りごちた。
「……」
何の気なしに、彼女の頬に触れる。
自分以外の、そして死体とは違う“体温”を皮膚は伝えた。
『貴方は独りではありません』
彼女が嬌声混じりに自分に放った言葉を思い出す。
(独りじゃない、ねぇ……)
なら、“それ”をこれから証明してくれよ。
俺がもう飢えずに済むと。渇かずに済むと。仕事とは関係の無い“殺し”をしないで済むと。
証明してくれよ。
……俺の傍で。
******************************
テイシン、シナー
音の主は一体のキリキザン。
その周りには近辺で暮らしていたのだろう、野生のポケモン達や、迷い込んできた人間達が無残な姿で転がっている。
傍らには惨状を作り出した際に使われたのだろう剣が、地面に突き刺さっていた。
ぐちゃり、ぬちゃりと気味の悪い音が続く。
キリキザンは近くに転がった死体を掻き回していた。
その表情は非常に恍惚としており、口元は歪んだ笑みを浮かべている。
その顔には、身体にはベッタリと誰かの血液が付着しているが、彼は気にしていなかった。
「……ッチ、もう冷めてきやがった…」
死体をグチャグチャにしていた男は、急にイラついた表情を浮かべて立ち上がった。彼が掻き回していた死体の体温がなくなったためである。
「もっと長く残らねぇのかな」と呟きながら、男はさっきまで掻き回していた死体を蹴り飛ばし、剣を手に取りまた何処かへ彷徨い始めた。歪んだ笑みを浮かべたまま。
――足リナイ。
コレジャ、マダ足リナイ。
モット触レ合イタイ。
ソウ、モット。モット、モット、モット!
――モット沢山ノ人ト触レ合イタイッ!!
(また新しいターゲットを探すか……)
キリキザン・テイシンは乱れた前髪を掻き揚げながら、茂みを彷徨う。
その口元は歪んだ笑みを浮かべているが、瞳は虚空を眺めている。それがまた彼の異質な雰囲気を表現していた。
その気配に、狂気が纏う。
そんな彼の前に、女性が一人佇んだ。
それは一体のキリキザン。
月明かりに照らされた女性は、テイシンを正面からジッと見つめている。
悲しい色を潜めた、その瞳で。
「……何だお前?」
テイシンは自分を見つめる女性を睨めつけた。
それでも女性は怯むことなく、彼を見つめている。
その口は何も言わない、しかし目は何かを訴えたがっている。
彼女の目に、言いようも無い苛立ちをテイシンは覚えた。
「俺に何か用なのか……?」
「……私はシナーと申します」
彼女は静かに言葉を口にした、出た『シナー』というのは、名前なのだろうか。
「教会に住む、ただのシスターでございます。……哀れな迷える魂よ」
「――あ゛?」
テイシンの顔に歪んだ笑みは消え、その眉間にシワが寄った。
シナーという女性は再び口を閉ざしてテイシンを見つめる。
その目で彼女は彼に何を伝えたいのか、それは未だ判然としない。
無言な時間が続く中、テイシンはニヤリと口元を歪めた。
……そうだ、次のターゲットはコイツにしよう
剣を握る手に力が込められる。
相手との距離を目測する。
無意識に舌なめずりをしていた。
再び狂気が纏われる。
――ズタズタに切り裂いて、その死体を掻き回そう。
――いや、見た所なかなか上玉そうだから、殺す前に一度くらいは犯してしまおうか。
遠い物陰からでも感じ取られそうなその異質な雰囲気を前にしてなお、シナーはテイシンから逃げようとせず、彼を見つめ続けている。
もう諦めているのだろうか。
テイシンの目は狩りを楽しむ獣のようにギラついている。
そんな中、彼女は静かに口を開いた。
「……かわいそうな人……」
間を詰めようとしたテイシンに向かって紡がれた言葉には哀れみの感情が込められている。
彼の足は地を蹴った。
数瞬で間は詰められた。
両手を押さえつけられたまま組み敷かれ、その視界の端に砥がれたナイフの刃が映ったのにも関わらず、彼女は哀れみの目で彼を見つめ続ける。
「――随分と冷静だな。次はお前が殺されるんだぜ?」
「…………」
彼女は何も語らない。
状況を未だ理解し切れてないのか、それともその思考回路は現実を逃避し始めているのだろうか。テイシンはその答えを聞く事はしない。
なら、現実を理解してもらおうじゃねぇか。彼は手にしたナイフでシナーの長いスカートを切り裂いた。
スカートの切れ端で彼女の両手を完全に拘束し、上半身の装束も切り裂いていく。色白な肌と下着が雲から覗く月明かりに照らされる。
(顔だけじゃなくて、身体も結構な上玉だったか……そいつはイイ)
舌なめずりするも、これまでに感じたような高揚感は感じられない。
「…………」
拘束され、衣服も裂かれているという危機的状況を前にしてもなお、シナーはテイシンを見つめていた。
其処に恐怖も、嫌悪も、憎悪も無い。あるのは、哀れみのみ。
その目に彼は苛立つ。
「お前……この状況解ってるのか? 名も知らねぇ男に強姦され、殺される所なのに、何だその目は? お前に恐怖は無いのか、それとも……犯されるのは本望ってか? 『罪の女(ザ・シナー)』には情報次第じゃ“娼婦”の意になるから、それも理由に入るのか?」
「――私が貴方に抱かれれば、貴方の魂は救われるのですか?」
「……は?」
眉間にシワを寄せるテイシンの背に、シナーは手を添えた。
ざわり、と。彼の中の何かが訴えかける。
何を訴えようとしているのか、それはわからない。だが、何かを伝えようとしている。
「どれだけの人を殺めても、どれだけの死体に残る熱を貪っても、徒にかき抱いても、貴方の魂は満たされなかったのではないですか? 貴方の心の飢えや渇きは、解放されなかったのではないですか?」
彼女はただ静かに言葉を紡ぐ。
その言葉に、彼の中の何かがざわついていく。
今まで感じることのなかった何かが、訴えてくる。
この女は“何か”を知っている。
俺の知らない“何か”を。
俺が知らなくて、しかし俺にとって核となるのかもしれない“何か”を。
「貴方が求めている事は、このような行為ではないはずです」
聞き入れる気は無いのに、無いはずなのに。この耳は彼女の声を脳に届けて思考回路をかき乱していく。
漆黒の瞳はまっすぐと自分の姿を映す。
ただ静かに。
「貴方はただ」
「もう喋んじゃねぇよ……っ」
これ以上この女を喋らせてはならない。兎に角、コイツの平常心を奪わなければ。
本能が告げる警鐘に従ってテイシンはシナーの唇に、自分のそれを重ねる。舌をねじ込んで彼女の口内を犯していった。彼女の身体がビクリと震える。
深く深く口付けている間に彼女の両手を上部へ持っていき、裂いた衣服の切れ端で縛る。
口を離せば、互いの間に唾液の糸が引いた。
「……は……っ」
(これ以上何かを話させないよう、畳み掛けてやる……!)
そう思ってテイシンは彼女のブラをたくし上げ、露になった胸を執拗に揉みしだき、突起を弄って刺激する。
チラリとシナーの顔を覗いてみると、彼女は若干恥ずかしそうに顔を赤らめている。口からは僅かに嬌声が漏れている。どうやらこの行為に感じているようだ。
――感じている。
その事実を知った途端、今までざわついていた何かが急に落ち着き払い、余裕を、いつもの自分を取り戻す。
「……何だぁ? 犯されてるくせに、感じてやがンのか」
耳元で「この売女が」と囁いてみれば、彼女の顔は一層紅潮した。だがその目線は(逸らさないのか、逸らせないのか)此方を見つめている。
ニタリ、と嫌な笑みを浮かべながらテイシンは胸の突起を舐る。舌で弾いてみたり、吸い付いてみたりと愛撫をすれば、シナーの身体はビクビクと痙攣し、その口からは嬌声が漏れる。
“自分が上の立場にある”という優越感が、彼の顔に浮かぶ歪んだ笑みを濃くしていった。
「あぁっ!」
左手は下腹部をすべり、秘所に指を浅く挿入し始める。トロトロとした蜜が彼の指を伝う。
「ほぉーら、……こんなに濡らしてやがる」
「淫乱な女だ」彼女に見せ付けるように指に塗れた蜜を舐めとると、生理的なものだろうか、彼女の目から涙が流れ出た。
(もう俺に何か言う余裕はなくなってきたな)
そろそろか。テイシンは濡れた秘所を眺めながら、彼女の足を片方抱え、あいた片手で自身を取り出し、其処にあてがう。
気持ち良くなんかしてやらねぇよ。
存分に犯して、弄んだら
この手で無残な姿に
「……あの……」
シナーの口が再び開いた。嬌声ではない、言葉をその口は紡ぎ始める。
彼女の身体は熱で火照り、呼吸も決して落ち着いたものではない。漆黒の瞳も涙で潤み、充分色気のある姿となっている。
まだ喋れるのかと、テイシンは舌打ちした。
「私は……これから貴方と 交わるのですね……」
「……? あぁ、そうだよ。今更怖くなりました放して下さいとか言うんじゃねぇだろうなぁ?」
「……いえ……ただ、お願いがあります」
「この拘束を、解いて下さい」
この拘束、と言うのは上部に固定され、裂いた衣服の布で縛られた両手の事だろう。というか、それ以外に拘束してる所なんて無いのだが。
「これを解いたらすぐに逃げようって算段か? それを簡単にさせるほど俺が余裕のねぇヤツに見えるのかなお前には?」
「――逃亡は、致しません。約束します。……それと……、貴方の名前を教えて下さい……。」
「……俺の名前を聞いてどうするってんだ?」
「だって……このままの状態では……」
「……貴方の名を呼んで、貴方を抱き締める事も出来ないでしょう?」
思考が一瞬、混乱した。
この女は何を言ってやがる?
俺の名を呼んで? 俺を抱き締める?
コレは“強姦”だ、相思相愛のカップルによる“和姦”とは違う。犯されてる立場だと言うのに、何甘い事考えてるだ? コイツは。
固まったテイシンに対して、シナーは微笑みながら続ける。
「貴方が私の、その……胸に……吸い付いていた時。……何だか、一生懸命に母乳を飲もうとする赤子のように見えました。」
彼女が紡ぐ言葉に、また自分の中の何かがざわつき始める。
「前戯、と言うのでしょうか? それをしている時のあなたの目は……とても嬉しそうで、反面、寂しそうでした」
まるで、欲しかったものが手に入ったと思って喜んだものの、違うものであると気付いた、子供のような。
喜んでいたけど、ショックで、笑うべきなのか泣くべきなのか判らない、複雑な表情。
「――何言ってんだ、おま」
「私に触れて、他者の生きた“温もり”を感じる事が出来て、幸せだと思えましたか?」
その言葉に、体がビクリと反応した。
「私を拘束して、優越感に浸りながら私を犯して、それで貴方の心は満たされましたか?」
「……な……」
「満たされなかったのではないですか?」
「……るな」
「満たされなかったのでしょう? だって貴方は」
「喋んじゃねぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇっ!!!」
吐き出した怒号と同時に、テイシンはシナーの秘所に自身を挿入する。キツく締め上げる膣壁に対し、力ずくで腰を進める。ブチッと、何かが破れる音がした。
処女か。処女膜が破れた激痛で顔を歪める彼女の顔を見て、彼は笑みを浮かべようとする。
「――さ、び しか、った の、で、しょう……?」
言葉は続いた。
か細く掠れた声で、区切り区切りに。
あるのか判らない“心”のような何かが、揺らいだ。
呼吸を整え、彼女は生理的な涙を浮かべながら言葉を紡いでいく。
「誰にも触れてもらえなくて、抱き締めてもらえなくて、……愛されなくて。ずっと、寂しかったのではないですか?」
――生まれた子供はその刃が原因で周りに距離を置かれておりました。
「……貴方は始めから、誰かを傷つける事を目的として近付いたのではないと、私は思います……」
子供は初めて「誰かに触れると温かい」事を知りました。
そして子供は好奇心で、その親子に“触れてみよう”としました。
――その日、親子は死にました。
子供の目の前には血と死体が転がっています。
子供は血と死体から一つの熱を知りました。
――子供は初めて「誰かに触れる」ことを覚えました。
「貴方の心はもう、寂しさに耐えられなかったのだと思います。だから誰かに触れたかった、誰かに抱き締めてもらいたかった、誰かの温もりを感じたかった。誰かに、愛情を注いで欲しかった。」
――「……な子」
「否定、出来ますか……?」
不意に、テイシンの脳裏に声と共に映像が過ぎる。
ふらりと立ち寄った教会、いつものように、その刃で他人と“触れ合い”、奥へ奥へと彷徨って。ステンドグラスを通して床に光が注がれる空間に行き着いて。其処に誰かがいて、近付く俺に対して何か喋ってて……
「……かわいそうな子」
「あなたはただ、誰かに抱き締めてもらいたかっただけでしょう?」
「愛が欲しかっただけでしょう?」
「誰かの愛に飢えた哀れな迷える魂をどうか救って……」
するり。
「……あ…?」
ハッと意識を現実に戻すと、テイシンはシナーの拘束を解いていた。彼女の両手は自由になり、その手は彼の背に回す。そしてそのまま、子供をあやすように背を撫でる。
一気に呼吸が乱れる。
今まで、無意識の内に抑え込み続けていた何かが、外に出ようと競りあがってくる。その感覚が不快で、でも出さないままでいるのも不快で、無理矢理にでも出てこようとする何かと、それを必死で押さえつける自分がいた。
競りあがるものは、きっと今までの自分を否定するものだろう。
嫌だ、と思った。自分が、自分の中で“正しい事だ”と納得していた事を、否定されるのが。
それを完全に否定されたら、これからの自分は何をすればいいのだろうか。
わからない。分からない。判らない。
――怖い…ッ!
「怖いと思って、良いんですよ……?」
自分の中で渦巻く何かを感じ取ったのか、それとも気付かぬ内に声として出ていたのか。シナーは、赤と黒のツートンカラーという独特な長髪に触れる。
彼女は微笑んでいた。生理的な涙を浮かばせていたが、優しく、微笑んでいた。
ポタリと、自分が抑え込んでいた“何か”が落ちる。
もう、止まらない。止められない。
「名前を、教えてくれませんか?」
ツートンカラーの長髪を撫でながら、彼女は問う。
「……テイシン……」
彼女の身体に顔をうずめていたテイシンは、ボソボソと自分の名前を名乗る。先程までの狂気じみた雰囲気は欠片一つなく、若干鬱々とした静けさを放っている。
「テイシン、ですか。……テイシン、その……動いて大丈夫ですよ……?」
シナーは彼の名前を確認した後、恥ずかしそうに、続きの言葉を彼の耳にギリギリ届く程度の声音で紡ぎ出す。現在もまだ2人は、“秘所”で繋がっている状態だ。
「ひぁ……っ」
(――大きく、なってる……?)
自分の中に未だ存在している異物の変化に、思わず彼女は声を上げる。
異物は動きを見せた。
ゆっくりと、いやらしさを覚える水音を立てて。
「あっ は、ん……っ ぁ、テイ、シン……ッ!」
シナーは嬌声を漏らしながら、テイシンの服を強く掴む。
浅かった挿入も、次第に深く、限界まで引き抜いて腰に打ち付ける行為へと変わっていった。
「もう、寂しいと、思わなくて、良いのです……っ 私が、いますからっ 私が、傍に、いますから……っ! だから、もう……貴方は、独りでは、ありませんっ 温もりに飢えなくて、良いのですっ ただただ、自分が空しくなってしまう……無意味な殺しを、しなくてっ 良いのですよ……っ!?」
本能のような、獣を思わせる行為を行いながら、テイシンは無意識の内に涙を流した。
苦痛でも、悲愴でもなく、歓喜の涙を。
(――あぁ……)
ようやく、手に入った。
耳に届くは、自分の名。
自分の名を呼ぶ、他者の声。
刃を携える自分の身体を、真正面から触れてくれる。抱き締めてくれる。
視界に映るは、自分の名を呼ぶ声の主。
その顔には微笑が浮かんでおり、その身体は自分を受け入れている。
感じるはその者の鼓動。声。そして、体温。
飢えが満たされる気がした。
渇きが潤わされる気がした。
(――ようやく、俺は……)
互いに限界が来て、果てる時に、テイシンは涙を流したまま、子供のような無邪気な笑みを浮かべていた。
ふと、異臭が鼻について、テイシンは眠りから覚めた。
周りには数多もの死骸と、その周辺には飛び散ったような血痕があり、異臭の元は容易に判明出来た。
(――そうだ、この辺にいたヤツを適当に殺した後にあの女が現れて、そんで、犯したんだっけか……)
昨日の事を思い出し、テイシンは赤と黒の独特なツートンカラーの髪をガシガシと掻きながら身を起こして、乱れた衣服を整えていく。
隣には外套を掛け布団の代わりにして眠るシナーの姿。頭を覆っていた布も外されており、露になった白銀の髪が、そよそよと風に揺れている。
死体だらけのこの場所で心地よく眠れるとは、見た目の割には結構図太い神経をしてるなと彼は独りごちた。
「……」
何の気なしに、彼女の頬に触れる。
自分以外の、そして死体とは違う“体温”を皮膚は伝えた。
『貴方は独りではありません』
彼女が嬌声混じりに自分に放った言葉を思い出す。
(独りじゃない、ねぇ……)
なら、“それ”をこれから証明してくれよ。
俺がもう飢えずに済むと。渇かずに済むと。仕事とは関係の無い“殺し”をしないで済むと。
証明してくれよ。
……俺の傍で。
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テイシン、シナー
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闇の探検隊をプレイ中。
擬人化リクエストは消化しきれない。
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