ポケダン(探検隊)チーム『シノギリハ』・『マシュマロ』・『ひだまり』・『カクテル』のネタを殴り書くそんなブログ。
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槐の話
*****
大学の図書室、そこに俺はいた。卒論の準備を進めるためだ。
必要な資料を借りることが出来、家へ帰ってそれを読もうと考えながら大学を出たら、忘れ物をした事に気付いたんだ。だから、慌てて踵を返し図書室へ戻っていった。
話は、その日のことだった。
「お探しのものはコレか?」
ある男がそう言って俺に見せたのは、掌サイズの小さなノート。俺が忘れていったものだ。
「おお、ありがとう。危うく大学へ置き去りにする所だった。マジありがとう」
そう言う俺を、男は苛立たしげに睨みつけている。言葉遣いが変だったのだろうか?
「まあ、ありがとな」
その場を後にしようとした時に、男は俺に向かって一言物申した。
「やっぱお前ムカつくわ」
「……?」
唐突に言われた一言を確認しようと、俺はもう一度振り返る。
「幸せそうなツラしやがって、」
「ヤクザの子供のくせに」
出てきた言葉に、俺はキョトンとした目で男を見た。
“ヤクザの子供”……その言葉にはひどい語弊があるものの、俺の出自を知っているのがこの大学にいたという事に驚きを隠せないでいると、男は続ける。
「お前みたいなヤクザの子供が何で大学まで進学しているんだ。教員を脅して進学したのか? その上色んな奴取り込みやがって……」
男は言いながら、俺を睨みつけるのを止めはしない。
その男に対して、俺は言う。
「俺の家についてどこから聞いたとか、お前が俺をどう思っているとか、尋ねるつもりはないけどよ。……そりゃ確かに、現在の紫黒組組長・紫黒橘は俺の伯父で、血の繋がりはあるしそこは否定しない。」
「けどな」俺は続ける。
「俺は普通に学校へ行って、普通に勉強して、ちゃんと正規の手段で受験して、この大学へ進学した。周りにいる奴だって、別に俺が取り込んでいったつもりはない。俺が自分から関わっていったり、相手から声を掛けられて交流している」
「そもそも」最後に付け加える。
「俺は“龍宮”槐だ。“紫黒”の血は引いていても、直接的な関係はそこには無い」
その一言に、男はただ黙る。ギリッと歯を軋ませて。
「――そういう所がムカつくんだよ……っ」
そんな言葉が聞こえた気がした。
男は俺の前から立ち去った。ボソボソと何か言っていたみたいだったが……距離もあったし、聞き取れない。
気にするほどの事でもないよな、そう思いながら図書室を出ようとしたその時
ヤ ツ は あ ら わ れ た 。
「よお」
そう言って俺に声を掛けてきた男の外見は、非常に俺そっくりだった。
顔立ち、髪と目の色、背丈、声質……髪の長さと上着を閉めている二点を除いて、外見だけで俺との区別がつきにくい男は、明らかに動揺している俺の事を無視して話し続ける。
「俺はお前の“相棒”だ。相棒って解るか? 呪われた奴にもれなく一体現れる存在だよ。」
「お前呪われたんだよ、さっきお前と会話していた野郎に。それも、とびっきりタチの悪い呪いをなぁ!」
自らを相棒と称している俺そっくりの男が発していく言葉をまともに理解出来るほどの思考の余裕は今無くて。
だけど、男は続ける。
「良いか? 俺は一度だけしかお前にかけられた呪いの内容を言わねぇぞ? よぉーっく、耳かっぽじって聞いて理解しやがれヤクザのガキ」
「さあ」
「楽しい苦しい“鬼ごっこ”とシャレこもうじゃねぇの!!」
******************************
3月18日
龍宮槐 【侠客】の呪いを得る
必要な資料を借りることが出来、家へ帰ってそれを読もうと考えながら大学を出たら、忘れ物をした事に気付いたんだ。だから、慌てて踵を返し図書室へ戻っていった。
話は、その日のことだった。
「お探しのものはコレか?」
ある男がそう言って俺に見せたのは、掌サイズの小さなノート。俺が忘れていったものだ。
「おお、ありがとう。危うく大学へ置き去りにする所だった。マジありがとう」
そう言う俺を、男は苛立たしげに睨みつけている。言葉遣いが変だったのだろうか?
「まあ、ありがとな」
その場を後にしようとした時に、男は俺に向かって一言物申した。
「やっぱお前ムカつくわ」
「……?」
唐突に言われた一言を確認しようと、俺はもう一度振り返る。
「幸せそうなツラしやがって、」
「ヤクザの子供のくせに」
出てきた言葉に、俺はキョトンとした目で男を見た。
“ヤクザの子供”……その言葉にはひどい語弊があるものの、俺の出自を知っているのがこの大学にいたという事に驚きを隠せないでいると、男は続ける。
「お前みたいなヤクザの子供が何で大学まで進学しているんだ。教員を脅して進学したのか? その上色んな奴取り込みやがって……」
男は言いながら、俺を睨みつけるのを止めはしない。
その男に対して、俺は言う。
「俺の家についてどこから聞いたとか、お前が俺をどう思っているとか、尋ねるつもりはないけどよ。……そりゃ確かに、現在の紫黒組組長・紫黒橘は俺の伯父で、血の繋がりはあるしそこは否定しない。」
「けどな」俺は続ける。
「俺は普通に学校へ行って、普通に勉強して、ちゃんと正規の手段で受験して、この大学へ進学した。周りにいる奴だって、別に俺が取り込んでいったつもりはない。俺が自分から関わっていったり、相手から声を掛けられて交流している」
「そもそも」最後に付け加える。
「俺は“龍宮”槐だ。“紫黒”の血は引いていても、直接的な関係はそこには無い」
その一言に、男はただ黙る。ギリッと歯を軋ませて。
「――そういう所がムカつくんだよ……っ」
そんな言葉が聞こえた気がした。
男は俺の前から立ち去った。ボソボソと何か言っていたみたいだったが……距離もあったし、聞き取れない。
気にするほどの事でもないよな、そう思いながら図書室を出ようとしたその時
ヤ ツ は あ ら わ れ た 。
「よお」
そう言って俺に声を掛けてきた男の外見は、非常に俺そっくりだった。
顔立ち、髪と目の色、背丈、声質……髪の長さと上着を閉めている二点を除いて、外見だけで俺との区別がつきにくい男は、明らかに動揺している俺の事を無視して話し続ける。
「俺はお前の“相棒”だ。相棒って解るか? 呪われた奴にもれなく一体現れる存在だよ。」
「お前呪われたんだよ、さっきお前と会話していた野郎に。それも、とびっきりタチの悪い呪いをなぁ!」
自らを相棒と称している俺そっくりの男が発していく言葉をまともに理解出来るほどの思考の余裕は今無くて。
だけど、男は続ける。
「良いか? 俺は一度だけしかお前にかけられた呪いの内容を言わねぇぞ? よぉーっく、耳かっぽじって聞いて理解しやがれヤクザのガキ」
「さあ」
「楽しい苦しい“鬼ごっこ”とシャレこもうじゃねぇの!!」
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3月18日
龍宮槐 【侠客】の呪いを得る
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1990/03/09
職業:
一応学生
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色々
自己紹介:
幼い頃からの任●堂っ子。
闇の探検隊をプレイ中。
擬人化リクエストは消化しきれない。
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